片足立ちは何秒できればいい?ふらつく・転んだ人でも安全に始める方法

片足立ちは何秒できればいい?ふらつく・転んだ人でも安全に始める方法 自宅リハビリ

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📋 この記事でわかること

  • ✔ 片足立ちが「何秒できればいいのか」の目安と、その根拠
  • ✔ 転んだ経験がある人でも安全に始められる、掴まり方の段階的な進め方
  • ✔ 家族が気をつける安全管理と、やってはいけないケース
もくもく

・理学療法士歴15年|訪問リハビリ12年|累計12,000件以上の訪問
・在宅生活の専門家:小さなお子さんから難病、高齢の方まで幅広くサポート
・現場目線の発信:現場で培った「長く・安全に自宅で過ごすための工夫」を公開中

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母に片足立ちがいいと聞いたのですが、ふらついて怖がってしまって……。うちの母みたいに転んだことがある人でも、やって大丈夫なんでしょうか?

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大丈夫ですよ。転んだ経験がある方でも、掴まり方を工夫すれば安全に始められます。この記事で、順番にお伝えしますね。

「片足立ちは体にいい」とよく聞きますが、いざ高齢のご家族にやってもらおうとすると、「ふらついて怖い」「立てないから続かない」という壁にぶつかりがちです。ネット上には「15秒立てないと危険」といった情報があふれていますが、その先の「じゃあ立てない人はどうすればいいのか」を、順を追って教えてくれる記事は多くありません。この記事では、訪問リハビリに従事して12年になる理学療法士の私が、現場で実際に指導している「掴まった状態から少しずつ手を離していく」進め方を、論文の裏づけとあわせてお伝えします。転んだ経験がある方でも、今日から安全に始められる方法ですので、ぜひ最後まで読んでみてください。


そもそも片足立ちは何秒できればいい?目安を知っておこう

手すりのそばで片足立ちをする高齢女性

まず、多くの方が気になる「何秒立てればいいのか」からお答えします。ただ、先にお伝えしておきたいのは、この秒数はあくまで「今の自分の状態を知るための目安」であって、いきなりこの秒数を目指すものではない、ということです。ここを勘違いすると、無理をして転倒につながりかねません。

15秒がひとつの目安になる

医学的な目安としてよく使われるのが「開眼で15秒」という数字です。目を開けた状態で片足立ちが15秒続けられないと、「運動器不安定症」といって、転びやすくなっている状態のひとつの目安とされています(日本整形外科学会より)。この基準は、日本整形外科学会など3つの学会が合同で定めたもので、医療の現場でも広く使われています。

出典:運動器不安定症(日本整形外科学会)

また、運動器疾患のない高齢の入院患者346人を対象にした研究では、左右とも片足立ちが15秒を上回った人は全員が自分の足で歩けていた、という結果が報告されています(総合リハビリテーション47巻より)。この研究はしっかりとした査読を経た論文で、判別の精度も高いものでした。つまり15秒は、「自分の足でしっかり歩ける」ことのひとつの目安にもなる数字なのです。

出典:津田泰路ほか「左右脚の片脚立位時間と歩行自立度の関連」総合リハビリテーション47巻7号

年齢とともに短くなるのは自然なこと

とはいえ、片足立ちの時間は年齢とともに短くなるのが自然です。地域に住む高齢者977人を調べた調査では、開眼での片足立ち時間は65歳代で平均44秒、70歳代で31秒、75歳代で21秒、80歳代で11秒と報告されています(日本整形外科学会より)。年代が上がるごとに、はっきりと短くなっていくのがわかります。ですから、80歳を過ぎた方が「15秒立てない」からといって、過度に落ち込む必要はありません。大切なのは今の秒数そのものより、「これから伸ばしていけるかどうか」です。

測るときも必ず掴まれる場所を用意する

自宅で秒数を測るときも、注意が必要です。時間を計ろうとすると、つい本人も家族も秒数に気を取られて、安全がおろそかになりがちです。測定のときも、すぐ掴まれる手すりやテーブルのそばで行い、いつでも掴まれる状態を保ってください。目安を知るための測定でケガをしては、本末転倒です。

👨‍⚕️ もくもくポイント

秒数を測るのは「今の状態を知るため」であって、点数を競うためではありません。現場では、測定の数字より「前回より少しでも掴まる手が軽くなったか」を見ています。数字が伸びない日があっても気にしないでください。

片足立ちには、どんな効果があるの?

「片足立ちは体にいい」とよく言われますが、では具体的に何が良いのでしょうか。ここでは、研究で確かめられていることを中心に、期待できる効果を整理してお伝えします。

①転びにくくなる

もっとも確かなのが、転倒を防ぐ効果です。転倒のリスクが高い高齢者を対象に、片足立ちを1日3回続けたグループと、そうでないグループを比べたランダム化比較試験(もっとも信頼性が高いとされる研究方法)があります。その結果、片足立ちを続けたグループは転倒が有意に減ったと報告されています(J. Orthop. Science 2006より)。片方の足で立つ練習が、日常のふとしたふらつきに耐える力を養ってくれるのです。

出典:Sakamoto K, et al. J Orthop Sci. 2006;11(5):467-472

ひとつ、正直にお伝えしておきたいことがあります。この研究では、転倒は減った一方で、「骨折そのものが減った」とまではっきり確認されたわけではありません。ネット上では「片足立ちで骨折予防」と書かれていることもありますが、研究で確かめられているのは「転びにくくなる」ところまで、というのが誠実な表現です。

②骨に刺激を与える(骨粗しょう症対策)

片方の足で立つと、支える側の脚の付け根(大腿骨)には、両足で立つときの約2.75倍もの負荷がかかります。骨は負荷がかかることで丈夫になる性質があり、1分間の片足立ちは、約53分歩いたのと同じくらいの刺激を骨に与えるとされています。この考え方をもとに、片足立ちは骨粗しょう症対策の運動療法(ダイナミックフラミンゴ療法)として、学会でも紹介されています(日本運動器科学会より)。短い時間で骨に効率よく働きかけられるのが、片足立ちならではの利点です。

出典:ダイナミックフラミンゴ療法(日本運動器科学会)

③体を「支える力」を保つ

片足立ちは、片方の足だけで全身を支えるため、お尻から太もも、ふくらはぎといった体を支える筋肉と、ぐらつきを立て直すバランスの働きに、まとめて刺激が入ります。先ほどの運動療法でも、続けることで立位バランスの改善が期待できるとされています(日本運動器科学会より)。前の章でお伝えしたとおり、片足立ちが何秒できるかは「自分の足で歩ける力」とも深く関わっています。この支える力を保つことこそが、いつまでも自分の足で歩き続けることにつながります。実際、片足立ちの時間が少しずつ伸びてきた方は、歩くときのふらつきが減って、足取りが安定してくるのを現場でもよく感じます。

転んだ経験がある人でも大丈夫。まずは「掴まって」始める

ここまで、目安や効果をお伝えしてきました。とはいえ、「うちの親は15秒どころか数秒も立てない」「そもそも怖がってやってくれない」という方も多いはずです。でも、安心してください。ここからが、この記事で一番お伝えしたいところです。片足立ちは、正しく段階を踏めば、転んだ経験がある方でも安全に始められます。

いきなり手を離さない。掴まったまま「最大10秒」から

手すりに掴まりながら片足立ちを練習する高齢者

現場でよくあるのが、「片足立ち=手を離してやるもの」と思い込んで、いきなり挑戦して怖くなってしまうケースです。実際、私が訪問リハビリで担当した、過去に転倒の経験がある方も、最初は怖くてどうしても手を離すことができませんでした。無理に離させようとすれば、恐怖心が強くなって余計に続かなくなってしまいます。

そこで私が指導しているのは、掴まる手を少しずつ減らしていく方法です。具体的には、次のように進めます。

🔰 掴まる手を少しずつ減らす5ステップ

  1. 両手で手すりに掴まって、片足を上げて最大10秒
  2. 片手だけで掴まって最大10秒
  3. 指を3本だけ添えて最大10秒
  4. 指の本数を減らして、触れるだけ
  5. そっと手を離して立つ

※各段階で安定してから次へ。焦らず一段ずつ進めます。

大切なのは、各段階で「最大10秒」を目安にクリアできてから、次に進むことです。両手で10秒安定してできるようになったら片手へ、片手で安定したら指3本へ、と一段ずつ進めていきます。焦って先の段階に進まないことが、安全に続けるいちばんのコツです。1段階に何日かかってもかまいません。その人のペースで、確実に一段ずつ上がっていくことが、遠回りのようでいちばんの近道になります。

📝 訪問現場より

過去に転倒の経験があり、怖くて手すりから手を離せなかった方がいました。その方も、この「掴まり方を少しずつ減らす」進め方で練習を重ねるうちに、少しずつ片足で保てるようになっていきました。

最終的には、ご自宅でも自主トレーニングとして続けられるまでに。自分のペースで一段ずつ進めれば、ここまで変わっていけるのだと、あらためて感じた例です。

もうひとつ、練習のときに意識してほしいのが「左右差」です。片足立ちの時間は、左右で差が出るのがふつうで、立ちにくい(秒数が短い)側ほど、支える力が落ちてきているサインといえます。両方の足で行ったうえで、立ちにくい側を少し多めに練習すると、左右のバランスが整いやすくなります。

手を離せたら「目線」で仕上げる

無事に手を離して立てるようになったら、最後の仕上げとして目線を意識します。ふらつくと、つい足元を見てしまいがちですが、下ばかり見ているとかえってバランスが取りにくくなります。手を離して立てるようになったら、視線を前に上げて、床を見ないように意識してみてください。壁の一点や、少し先の景色を見るようにするとやりやすくなります。これでぐっと安定感が増します。

なお、インターネットでは「目を閉じて片足立ち」をすすめる情報も見かけますが、高齢の方にはおすすめしません。目を閉じると、支えにしていた視覚を失ってバランスが一気に難しくなり、転倒の危険が高まります。高齢のご家族の場合は、目を開けたまま行うだけで十分です。

👨‍⚕️ もくもくポイント

訪問リハビリでは、片足立ちの練習で最初に確認するのは「秒数」ではなく「掴まり方」です。両手なのか、指なのか、その一段の違いがその人の今の力を正確に表します。焦って手を離させないことが、いちばんの安全策です。

親にすすめるときに家族が気をつける安全管理

ここは、高齢のご家族に片足立ちをすすめる立場の方に、必ず知っておいてほしいポイントです。良かれと思って始めても、環境が整っていないと、かえって転倒のリスクになってしまいます。

こんな人・こんな時は、無理に始めない

片足立ちは手軽な運動ですが、片方の脚に全体重が乗るため、体の状態によっては負担が大きくなります。次のような場合は、自己判断で始めず、まず主治医やリハビリの担当者に相談してください。

⚠️ こんな時は始めず、まず相談を

  • 強いめまいや立ちくらみがある、または体調がすぐれない日
  • 膝・股関節・腰に強い痛みがある(痛む脚に体重をかけると悪化することがあります)
  • 最近転んで、打撲や痛みが残っている
  • 骨折の治療中、または手術のあとで、まだ運動の許可が出ていない
  • 血圧が高く不安定で、運動を控えるように言われている

また、練習の途中で痛み・強いふらつき・気分の悪さ・動悸などが出たときは、すぐに中止して、掴まったまま休んでください。「もう少しだけ」と無理に続けず、その日はやめておくのがいちばん安全です。こうしたサインが続く場合や、繰り返す場合は、一度かかりつけの先生に相談しておくと安心です。

周囲1メートルは何もない状態にする

まず、片足立ちをする場所の周囲1メートルには、物を置かないようにしてください。ふらついたときに、ぶつかったり、つまずいたりする物があると危険です。床に置かれた新聞や座布団、電気コード、小さなゴミ箱なども、事前に片づけておきましょう。転んだときに頭をぶつけそうな角のある家具の近くも避けてください。

椅子に掴まらせてはいけない

固定された手すりに掴まって安全に片足立ちをする様子

これは意外と見落とされがちですが、とても大切なことです。掴まる場所として、椅子を使わせないでください。椅子は、ふらついて体重をかけた瞬間に一緒に動いてしまい、椅子ごと転倒する危険があります。キャスター付きの椅子はもちろん、普通の椅子でも同じことが起こり得ます。私が現場で指導するときも、掴まる先は必ず「固定された手すり」や「動かないテーブル」にするようお伝えしています。動かない、しっかりした物に掴まる。これが鉄則です。

怖がって体を固めるほど、かえって危ない

もうひとつ、家族に知っておいてほしいのが、本人の様子です。ふらつくのが怖い方ほど、全身に力を入れて体を固めてしまいがちです。ですが、体をガチガチに固めると、小さなふらつきに対して体をしなやかに調整できず、かえってバランスを崩しやすくなります。ご家族は、そばで見守りながら「肩の力を抜いて大丈夫だよ」と声をかけてあげてください。安心できる人がそばにいることが、本人が力を抜くいちばんの助けになります。急かしたり、「もっと頑張って」と煽ったりするのは逆効果ですので、ゆったりした気持ちで付き添ってあげてください。

👨‍⚕️ もくもくポイント

椅子に掴まらせて練習させているご家庭は、実際とても多いです。良かれと思ってのことですが、掴まる先が動く物だと、ふらついた瞬間に一緒に転びます。「動かない物に掴まる」――これだけは今日から徹底してください。

片足立ちは続ければ「取り戻せる」

最後に、いちばん大切なことをお伝えします。それは、片足立ちは続ければ効果が期待できる、ということです。

「もう歳だから」「今さらやっても」と思う必要はありません。先ほどお伝えしたように、片足立ちを続けることで転びにくくなる効果は、信頼性の高い研究でも確かめられています。年齢に関係なく、大切なのは、無理のない範囲で「続ける」ことです。

無理のない目安は、1日3回、左右それぞれ行うことです。ただし、繰り返しになりますが、いきなり長い時間を目指すのではありません。まずは掴まった状態で10秒から。焦らず一段ずつ進めることが、続けるコツであり、安全に効果を得る近道です。

毎日の生活のなかに組み込む

続けるためには、特別な運動の時間をわざわざ作るより、毎日の生活の流れのなかに組み込むのがおすすめです。たとえば、洗面台で歯を磨くとき、キッチンで料理の合間、テレビを見ながらなど、しっかりした台や手すりのそばで自然に行えるタイミングを決めておくと、習慣として定着しやすくなります。「歯磨きのあとに両手で10秒」というように、すでにある習慣とセットにしてしまうと、忘れにくく、無理なく続けられます。ご家族が声をかける場合も、決まったタイミングを一緒に決めておくと、見守りやすくなります。

👨‍⚕️ もくもくポイント

「今さら始めても遅い」とあきらめて練習をやめてしまう方を、現場でたくさん見てきました。ですが、掴まった10秒からでも、続ければ体は応えてくれます。今日できた一段を、どうか小さな成功として一緒に喜んであげてください。

まとめ

📝 まとめ

  • ✅ 目安は「開眼で15秒」。ただし今の状態を知る物差しで、いきなり目指さない
  • ✅ 立てない人は、両手で掴まって最大10秒から。掴まる手を一段ずつ減らす
  • ✅ 掴まる先は椅子ではなく、固定された手すり・動かないテーブル
  • ✅ めまい・強い痛み・骨折治療中などは行わず、まず主治医へ相談
  • ✅ 続ければ転びにくくなる効果は研究でも確認。毎日の習慣に組み込むのがコツ

片足立ちは、「15秒立てるか」という目安ばかりが注目されがちですが、本当に大切なのは、立てない人が「どう安全に始めて、どう伸ばしていくか」です。転んだ経験がある方でも、両手で掴まった状態から「最大10秒」を目安に、掴まり方を少しずつ減らしていけば、無理なく片足で立てるようになっていきます。ご家族は、周囲1メートルを片づけ、椅子ではなく固定された手すりに掴まらせ、そばで見守りながら「力を抜いて大丈夫」と声をかけてあげてください。片足立ちは、続ければちゃんと取り戻せる運動です。今日から、掴まった10秒から始めてみましょう。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。持病のある方、体調に不安のある方、治療中の方は、実施前に主治医やリハビリ担当者にご相談ください。

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