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📋 この記事でわかること
- ✔ リハビリを頑張っているのに、なぜ筋力がなかなか戻らないことがあるのか
- ✔ 訪問リハビリの現場で、理学療法士が「食事」まで見ている理由
- ✔ リハビリ効果を高めるプロテインの摂り方(量・タイミング・続けるコツ)
- ✔ 高齢の親にプロテインを使うときに気をつけたいこと

デイやリハビリに通っているのに、母の足がどんどん細くなっていく気がして…。プロテインって飲ませた方がいいんでしょうか?

こういうご相談、訪問の現場でとても多いんです。
結論から言うと、リハビリを頑張ること自体はまったく間違っていません。ただ、「運動」だけでは筋肉は戻りにくく、筋肉の材料である「たんぱく質」がそろって初めて、筋肉はついていきます。この記事では、実際にわたしが訪問先で見てきたケースをまじえながら、リハビリとプロテインの関係を、できるだけかみくだいてお話しします。
なぜリハビリを頑張っても筋肉が戻らないことがあるのか

「これだけリハビリしているのに、どうして筋力が戻らないんだろう」——ご家族からも、ご本人からも、よく聞く言葉です。
原因はひとつではありませんが、現場で見ていて意外と見落とされがちなのが「材料不足」です。
運動は「刺激」、たんぱく質は「材料」
筋肉は、リハビリのような運動で刺激を受けると「もっと強くなろう」と反応します。でも、筋肉そのものを作る材料がなければ、いくら刺激を与えても組み立てることができません。
料理にたとえると、リハビリは「調理」、たんぱく質は「食材」です。どんなに腕のいい料理人でも、冷蔵庫が空っぽでは料理は作れません。リハビリを一生懸命やっているのに筋肉が増えないとき、実は食材が足りていない、ということが少なくないのです。
しかも、体内のアミノ酸(たんぱく質が分解されたもの)が不足した状態で運動をすると、筋肉を作る量より分解する量のほうが上回ってしまうこともあります。これは、せっかくの運動が逆効果になりかねない、ということです。
「高齢だから」「骨折後だから」でも同じ
これは特別な人の話ではありません。高齢の方のリハビリでも、骨折後のリハビリでも、同じことが起きます。
とくに年齢を重ねると、若いころと同じ量のたんぱく質では筋肉を作りにくくなることがわかっています。つまり、高齢の方こそ、若い人より意識してたんぱく質を摂る必要があるのです。
「食は細くなって当たり前」と見過ごされているうちに、筋肉の材料がじわじわ足りなくなっている——現場では、そういうケースをよく目にします。
こんなサインが出ていたら要注意
材料が足りていないかどうかは、専門家でなくても、ふだんの様子からある程度気づくことができます。
たとえば、こんな様子が見られたら、「頑張りが足りない」のではなく「材料が足りていない」サインかもしれません。
✅ 材料不足かもしれないサイン
- 立ち上がりや歩き出しが、だんだん重そうになってきた
- 以前より疲れやすく、すぐ横になりたがる
- 体重が少しずつ減っている
- 腕や太ももが細くなった気がする
とくに体重の減少は見逃せません。半年で数キロといった緩やかな減り方でも、その中身が筋肉であれば、リハビリの効果はどんどん出にくくなっていきます。気になるときは、まず「ちゃんと食べられているか」を振り返ってみてください。
👨⚕️ もくもくポイント
「リハビリしてるのに筋力が戻らない」と感じたら、頑張りを増やす前に、まず「ちゃんと食べられているか」を疑ってみてください。原因が努力不足ではなく材料不足なら、いくら運動を足しても空回りしてしまいます。
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訪問リハビリの現場で、栄養まで見ている理由

わたしは訪問リハビリの理学療法士として12年、これまで多くのご家庭を訪ねてきました。そのなかで、体を動かすことと同じくらい「何を食べているか」を大切にしています。ここでは、実際にあったケースをお話しします。
「筋肉がつかない」と相談してきた70代の方
以前、片側に麻痺の残る70代の男性から、「リハビリを頑張っているのに、筋肉がつかない。どうしたらいいだろう」と相談を受けました。
運動の内容を見るかぎり、決してサボっているわけではありません。むしろ熱心なくらいでした。そこで、ふだんの食事を一緒に確認してみたのです。すると、明らかにたんぱく質の量が少ないことがわかりました。ごはんやお茶漬け中心で、肉や魚、卵といったものがほとんど食卓に上がっていなかったのです。
そこでわたしは、リハビリのあとにプロテインを摂ることを提案しました。運動という刺激を与えたあとに、材料をきちんと届けてあげるイメージです。
3か月で、足の太さが変わった
結果は、数字にも表れました。
プロテインを摂り始める前の3か月間と、摂り始めてからの3か月間で、太ももの周り(周径)を比べたところ、飲み始めてからのほうが明らかに太くなっていたのです。周径が増えたということは、筋肉が育っている(筋肥大が起きている)ひとつのサインです。
同じようにリハビリを続けていても、材料がそろっているかどうかで、これだけ差が出る。これは、運動とたんぱく質を組み合わせると筋肉量や筋力が増えるという研究とも一致します。実際、複数の研究をまとめた解析(メタアナリシス)では、たんぱく質摂取の効果は、筋肉量については運動の有無にかかわらず、筋力については運動と組み合わせたときに発揮される、と報告されています(早稲田大学の発表より)。
出典:早稲田大学「たんぱく質摂取と筋力トレーニングによる筋力増強効果をメタアナリシスで解明」(Sports Medicine-Open)
冷蔵庫や食卓を、さりげなく見ている
だからわたしは、訪問先ではリハビリだけでなく、食事の様子もさりげなく見るようにしています。冷蔵庫の中身、食卓に並んでいるもの、食べ残しの量。責めるためではなく、「材料が足りているか」を確かめるためです。
📝 訪問現場より
別の80代の男性は、ひとり暮らしで、食事はパンだけで済ませたり、ごはんに少しのおかずを添えるだけだったりという日が続いていました。一見すると「食べている」のですが、中身を見ると糖質にかたよっていて、体をつくるたんぱく質がかなり不足していたのです。ご本人に足りていない自覚はなく、まわりも「ちゃんと食べている」と思い込んでいました。
まずはおかずを一品増やすことを提案しましたが、「全部自分で作るのは大変だ」とのこと。そこで、無理なくたんぱく質を補う方法として、一日のどこかでプロテインを摂ることをおすすめしたところ、飲み始めてくれました。調理の負担が大きい独居の方にとって、プロテインは現実的な選択肢のひとつになると感じたケースです。
デイサービスやリハビリでどれだけ頑張っても、「今日は何も食べていない」という日が続けば、その努力は台無しになってしまいます。ひとり暮らしの高齢の方や、日中ひとりで過ごす時間が長い方では、こうした「食べていない日」が案外多いものです。朝はパンをひと口、昼は抜き、夜も軽く——本人に悪気はなくても、気づけば1日のたんぱく質がまったく足りていない、ということが起こります。
運動と栄養は、どちらか一方では足りない。両輪でそろって初めて、体は応えてくれるのです。先ほどの70代の方も、プロテインを続けるうちにご本人が「前より立つのが楽になった」と話してくれるようになりました。数字(周径)だけでなく、ご本人の実感としても変化が出てきたのです。
👨⚕️ もくもくポイント
運動と栄養は両輪です。どちらか片方だけ頑張っても、体はなかなか応えてくれません。デイやリハビリの努力を結果につなげたいなら、「今日、何を食べたか」までセットで見てあげてください。
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リハビリ効果を高めるプロテインの摂り方

ここからは、実際にどう取り入れればいいのかをお話しします。ポイントは「量」「タイミング」「続けやすさ」の3つです。
基本は食事、足りない分をプロテインで
まず大前提として、たんぱく質は毎日の食事から摂るのが基本です。肉、魚、卵、大豆製品、乳製品などをバランスよく食べられているなら、それがいちばんです。
プロテインは、あくまで「食事だけでは足りない分を補うもの」と考えてください。食が細くて必要な量に届かないとき、そのすき間を埋めるのがプロテインの役割です。
どのくらい必要?(目安の量)
では、どのくらい必要なのでしょうか。
一般的に、健康な高齢の方は1日に体重1kgあたり1.0〜1.2gが目安とされています。体重50kgの方なら、50〜60gほどです。さらに、筋肉が落ちやすい状態(サルコペニアなど)では、1日に体重1kgあたり1.2〜1.5g程度が必要とされています(健康長寿ネットより)。
出典:健康長寿ネット(長寿科学振興財団)「サルコペニアに対する栄養」
実際、専門学会のガイドラインでも、1日に体重1kgあたり1.0g以上のたんぱく質を摂ることは、筋肉が落ちていくのを防ぐうえで有効とされ、推奨されています(日本サルコペニア・フレイル学会の診療ガイドラインより)。いわば1.0gは「筋肉を減らさないための下限」、先ほどの1.2〜1.5gは「積極的に増やしたいときの目安」と考えるとわかりやすいでしょう。
出典:日本サルコペニア・フレイル学会「サルコペニア診療ガイドライン2017年版」
たとえば体重50kgの方が1.2gを目指すなら1日60g。これは、毎食たんぱく質のおかずをしっかり食べて、ようやく届くくらいの量です。食が細い方には、なかなかハードルが高い数字だとわかります。だからこそ、足りない分をプロテインで補う意味があるのです。
食事だと、どのくらいで足りる?
イメージしやすいように、食事に置きかえてみましょう。
✅ 食品に含まれるたんぱく質の目安
- 肉・魚(手のひら1枚分)……約15〜20g
- 卵1個……約6g
- 納豆1パック……約7g
- 牛乳コップ1杯……約7g
1日60gを食事だけで摂ろうとすると、朝に卵と納豆、昼に魚、夜に肉、といった具合に、毎食しっかりたんぱく質のおかずを入れて、ようやく届く量になります。
裏を返せば、どこか1食でも「おかゆだけ」「うどんだけ」で済ませると、その日はあっという間に不足してしまう、ということです。食が細くなった高齢の方が、この量を毎日きっちり食べつづけるのは、思っている以上に大変です。そのすき間を、無理なく埋めてくれるのがプロテインなのです。
どんなプロテインを選べばいい?
プロテインにはいくつか種類があります。代表的なのは、牛乳由来の「ホエイ」「カゼイン」と、大豆由来の「ソイ」です。
リハビリ後の筋肉づくりを考えるなら、吸収が早く、運動後の筋肉の材料になりやすいホエイが基本の選択肢になります。ただし、牛乳でおなかがゆるくなりやすい方や乳製品を控えている方は、大豆由来のソイでもかまいません。大切なのは種類の優劣よりも、本人が飲みやすく、続けられるかどうかです。
わたし自身は、毎日口にするものだからこそ、国産で人工甘味料を使っていないホエイプロテインを選んで使っています。
いつ飲む?(リハビリのあとがおすすめ)
タイミングとしては、リハビリ(運動)のあとがおすすめです。
運動後にたんぱく質を摂ると、そのあと1〜2時間ほどで筋肉を作る働きが高まることが知られています。運動という刺激を与えた直後に材料を届けると、効率よく筋肉づくりにまわりやすいのです。
ただし、「運動直後の数十分を逃したらダメ」とあわてる必要はありません。近年の研究では、タイミングよりも1日全体でどれだけたんぱく質を摂れたかのほうが大切だとされています(日本スポーツ栄養協会より)。「リハビリのあとに1杯」を習慣にしつつ、1日を通して不足しないようにする——この考え方でじゅうぶんです。
出典:日本スポーツ栄養協会(SNDJ)「タンパク質の摂取タイミングと筋力などへの影響を調査」
いちばん大事なのは「続けられるか」
また、プロテインは飲んですぐ効果が出るものではありません。筋肉が育つには時間がかかり、変化を感じられるまでには早くても数週間から数か月かかります。「飲んでもすぐ変わらない」とやめてしまわず、まずは続けることが何より大切です。
そして、意外と見落とされがちなのが「続けられるかどうか」です。
どんなに良い成分でも、飲みつづけられなければ意味がありません。ここで現場でよくぶつかるのが、「飲みにくさ」の問題です。
プロテインには、水や牛乳に溶けにくく、ダマになりやすいものがあります。口の中に粉っぽさやザラつきが残ると、それだけで「もう飲みたくない」となってしまう方が、高齢の方にかぎらず本当に多いのです。せっかく買っても、飲まずに戸棚に眠ってしまっては、まったく意味がありません。
だからこそわたしは、溶け残りやダマが出にくく、口当たりのなめらかなものを選ぶことを大切にしています。続けられることが何より大事だからこそ、味と溶けやすさは妥協しない——これが現場で得た実感です。
👨⚕️ もくもくポイント
プロテイン選びで見落とされがちなのが「溶けやすさ」です。どんなに成分が良くても、飲みにくくて続かなければ意味がありません。味と溶けやすさは、続けるための大事な条件だと考えてください。
筋肉は、気づかないうちに少しずつ落ちていきます。だからこそ、リハビリを頑張っている「今」、しっかり材料を届けてあげることが大切です。毎日続けるものだからこそ、飲みやすさと中身の安心感は妥協したくないところです。
わたしが実際に選んで使っているのは、溶け残りやダマが少なく飲みやすいうえに、国産で人工甘味料も使っていないホエイプロテインです。「高齢の親に飲ませるものだからこそ、中身がはっきりしていて安心なものを選びたい」——そんな方にとって、続けられる一本の候補になります。
※ただし、腎臓に持病がある方などは注意が必要です。始める前に、次の「使うときの注意点」に必ず目を通してください。
高齢の親にプロテインを使うときの注意点
最後に、安全に取り入れるための注意点をまとめます。良かれと思って始めたことで、かえって体に負担をかけてしまっては本末転倒です。
腎臓の持病がある場合は必ず主治医に相談を
たんぱく質は腎臓で処理されるため、腎臓の働きが弱っている方は、摂る量を制限されていることがあります。
⚠️ 腎臓に持病がある方は自己判断で始めない
腎臓に持病がある、あるいは医師からたんぱく質の量について指導を受けている場合は、プロテインを始める前に必ず主治医に相談してください。自己判断で増やすのは避けましょう。ここは安全のために、はっきりお伝えしておきたい部分です。
むせやすい方は、とろみや形状に注意
飲み込む力が弱っている方は、サラサラした液体でむせてしまうことがあります。
むせは、誤って気管に入る(誤嚥)につながることもあり、注意が必要です。むせやすい方は、少しとろみをつける、ゼリータイプを選ぶ、一度に飲む量を減らすなど、その方に合わせた工夫をしてください。心配なときは、リハビリの担当者やかかりつけ医に相談すると安心です。
「量」と「食事」のバランスに気をつける
プロテインでお腹がいっぱいになり、肝心の食事が入らなくなっては本末転倒です。
あくまで食事が主役、プロテインは補助。食事の量が減らない範囲で取り入れるのが基本です。また、「たくさん摂れば摂るほど筋肉がつく」というものでもありません。目安の量を超えて摂りすぎても、上乗せの効果は期待しにくく、体に余計な負担がかかることもあります。適量を、無理なく、が続けるコツです。
家族ができる、ちょっとした工夫
離れて暮らしていたり、日中付き添えなかったりする場合でも、家族にできることはあります。
✅ 続けやすくする家族の工夫
- 飲む時間を「デイのあと」「お風呂のあと」など生活の区切りと結びつける
- 1回分ずつ小分けにして用意しておく
- 飲んだらカレンダーに印をつけてもらう
また、味に飽きて飲まなくなる方も少なくありません。いくつか味を用意してローテーションする、温かい飲み物に混ぜられるタイプを選ぶなど、その方が「おいしい」と思える形を一緒に探してあげてください。続けられる工夫こそが、いちばんの近道です。
👨⚕️ もくもくポイント
プロテインはあくまで食事の補助です。「多く摂るほど良い」ではなく、腎臓の持病やむせ、食事量に気をつけながら、適量を無理なく。心配なときは、遠慮せず主治医や担当者に相談してください。
まとめ
リハビリを頑張っているのに筋力が戻らないとき、原因のひとつに「材料不足」が隠れていることがあります。
📝 まとめ
- ✅ 筋肉は「運動(刺激)」と「たんぱく質(材料)」がそろって初めてつく
- ✅ 訪問の現場でも、食事まで見ることで結果が変わったケースがある
- ✅ プロテインは食事の補助。量の目安は体重1kgあたり1.0〜1.5g、飲むならリハビリのあとがおすすめ
- ✅ いちばん大事なのは、飲みやすくて「続けられる」こと
- ✅ 腎臓の持病・むせ・食事量には注意し、心配なときは主治医や担当者に相談を
一生懸命なリハビリを、しっかり結果につなげるために。今日から「運動」と「材料」の両輪を、ぜひ意識してみてください。
📚 参考文献







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