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📋 この記事でわかること
- ✔ 踏み台昇降で効果が出ない5つの原因
- ✔ 原因ごとの直し方(自分でも、ご家族が見てもチェックできる)
- ✔ 高齢の親にさせている場合に気をつけたいポイント
- ✔ 「効果が出ない」と感じたときの、もう一つの見方

毎日コツコツ踏み台昇降を続けているのに、正直、効果があるのかどうかよくわからなくてね…

うちも親にすすめてるんですけど、本人が「やっても変わらない」って。これ、意味あるんでしょうか?
「効果が出ない」「意味がないのでは」——踏み台昇降について、私は訪問リハビリの現場で何度もこの相談を受けてきました。そして12年間、1万件以上の現場を見てきて分かったことがあります。効果が出ない人には、じつは共通したつまずきがあるのです。しかもその多くは、ほんの少しやり方を変えるだけで解消できます。
この記事では、理学療法士の視点から「効果が出ない原因」と「その直し方」を、一つずつお伝えしていきます。
踏み台昇降で「効果がない」と感じる人は少なくない

踏み台昇降は、天候に左右されず自宅で手軽にできる有酸素運動として、とても人気があります。40代・50代の方が運動不足や血圧対策に始めることもあれば、離れて暮らす親の足腰のためにすすめるご家庭も増えています。
ところが、しばらく続けているうちに「これ、効果があるのだろうか」と手が止まってしまう。そんな声を本当によく聞きます。自分のためにやっている方も、親にさせているご家族も、同じ壁にぶつかります。
ここで知っておいてほしいのは、踏み台昇降で効果が出ないとき、その原因はだいたい決まっているということです。運動そのものに効果がないわけではありません。正しく行えば、踏み台昇降は下半身の大きな筋肉をしっかり使える、優れた運動です。効果を感じられないときは、たいてい「やり方」か「見方」のどこかにつまずきがあります。
次の章から、その原因を5つに分けて、一つずつ直し方とあわせて見ていきましょう。自分の運動を振り返るときにも、親御さんの様子をチェックするときにも使える内容です。
踏み台昇降の効果が出ない5つの原因【PTが解説】

ここからが本題です。踏み台昇降で「効果が出ない」と感じるとき、原因は大きく5つに分けられます。自分に当てはまるものがないか、あるいは親御さんの様子と照らし合わせながら読んでみてください。
原因1 強度が合っていない(台の高さ)
まず多いのが、台の高さが体に合っていないケースです。
踏み台昇降は、台の高さや昇り降りのスピードによって運動強度が大きく変わります。ここが合っていないと、いくら続けても効果は出にくくなります。
出典:踏み台昇降運動における運動強度の信頼性についての検討(日本理学療法学術大会)
高さが低すぎると、昇り降りが楽すぎて筋肉にも心肺にもほとんど負荷がかかりません。「毎日やっているのに変わらない」という方の台を見せてもらうと、数センチの段差で、ほぼ足踏みに近い状態だった、ということが少なくありません。
逆に、高すぎるのも問題です。負荷は上がりますが、膝への負担が大きくなり、痛みが出て続かなくなってしまう。「効果が出る前にやめてしまう」という点で、これも効果が出ない原因になります。
✅ 直し方
- 「ややきついけれど、会話はできる」高さに調整する
- 目安は10cm前後から。最後は数字より体の感覚で決める
- 何回か昇り降りして「少し息が弾む・膝は痛くない」ならOK
- 楽すぎたら少し上げる/膝に響くなら下げる
なお、踏み台の基本的なやり方や高さの決め方については、こちらの記事(高齢者の踏み台昇降)でくわしく解説しています。
原因2 回数・頻度が足りない
高さが合っていても、やる量が足りなければ効果は出ません。これも「効果がない」と感じる方に非常に多いパターンです。
「毎日やっている」と言う方でも、よく聞くと1回2〜3分だったり、「気が向いたときだけ」で週に2〜3回だったり。この程度では、体を変えるだけの刺激量に届いていないことがほとんどです。
とくに気をつけたいのが下半身です。加齢にともなう筋力低下は、腕よりも足のほうが起こりやすいとされています。踏み台昇降はその足腰を狙える運動ですが、狙えるからこそ、ある程度の頻度で続けないと効果として表れてきません。
✅ 直し方
- まず「1回の時間」と「週の回数」を決める
- 目安は1回10分ほどから/少し息が弾む強度/週に数回
- 難しければ短く分割してOK(3分×1日2回でも合計は稼げる)
いきなりこの量が難しい方は、短い時間からで構いません。3分を1日2回に分ける、といった形でも合計は稼げます。大切なのは「なんとなく毎日」ではなく、「これだけはやる」という量を決めて積み上げることです。
👨⚕️ もくもくポイント
「なんとなく毎日」より「これだけはやる」を決めるほうが続きます。時間と回数を記録すれば、続いているかが自分でも家族でも一目で分かります。
原因3 フォームが崩れている
高さも量も足りているのに効果が出ない——そんなときに最も多いのが、このフォームの崩れです。私が現場で「効果が出ない」と相談されたとき、いちばんよく見つかる原因でもあります。
踏み台昇降は、正しく昇れば下半身の大きな筋肉がしっかり働きます。台を昇るときには腸腰筋・大腿四頭筋(太もも)・大臀筋(お尻)が使われ、昇り降りの動作では太もも(外側広筋)やふくらはぎ(腓腹筋)が強く働くことが分かっています。逆に言えば、フォームが崩れてこれらの筋肉が使えていないと、いくら回数を重ねても効果は出にくいのです。
出典:踏み台昇降運動と踏み台昇降テスト(健康長寿ネット)
出典:健常成人における階段昇降の下肢・腹筋の筋活動(九州理学療法士・作業療法士合同学会誌)
✅ 効くフォーム
手すりは軽く添える/膝とつま先は同じ方向/降りるときもそっと
❌ 効かないフォーム
手すりで体を引き上げる/膝が内側に入る/ドスンと降りる
現場で経験した、印象的な例を2つ紹介します。
📝 訪問現場より
ひとつは、手すりに頼りすぎていた方です。転ばないように手すりを使うのは正しいのですが、この方は腕でしっかり体を引き上げてしまっていて、肝心の足の筋肉がほとんど使えていませんでした。安全のための工夫が、かえって効果を打ち消してしまっていたのです。
そこで、手すりを支える指の本数を、5本→3本→2本→1本と少しずつ減らしていってもらいました。すると2本くらいになったあたりで「これ、結構疲れるね」と。それだけ足に力が入っている証拠です。腕に逃がしていた仕事が、きちんと足に戻ってきた瞬間でした。
もうひとつは、膝が内側に入っていた方です。昇るときに膝がつま先より内に入ってしまい、正しいフォームになっていませんでした。これでは、お尻や太ももが本来の働きをしてくれません。
この方には、膝がつねにつま先と同じ方向を向くように意識してもらいました。そして「回数をこなすより、正しいやり方で少しやるほうが、ずっと効果的ですよ」とお伝えして、量を追うのをやめ、質を上げる方向に切り替えてもらいました。
そしてもうひとつ、見落とされやすいのが降り方です。ドスンと降りていないでしょうか。降りるときは、太ももの裏(ハムストリングス)やふくらはぎがブレーキ役として働き、体を支えています。勢いよく降りてしまうと、この大事な筋肉を使えないばかりか、膝に強い衝撃がかかって痛める原因にもなります。昇るときと同じくらい、降りるときも一歩ずつ、そっと足を下ろすことを意識してください。
✅ 直し方
- 手すりは体重を預けず、軽く添えてバランスを取る
- 昇るときは膝とつま先を同じ方向にそろえる
- 降りるときはドスンと降りず、そっと足を下ろす
- 回数より、一回一回を正しいフォームで(=量より質)
👨⚕️ もくもくポイント
手すりは握って体を引き上げるものではなく、軽く添えるもの。支える指を1本でも減らすほど足に効きます。膝はつねにつま先と同じ方向へ。踏み台昇降は「量より質」です。
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原因4 続けている期間が短い
意外と見落とされがちなのが、そもそも「まだ効果が出る時期に達していない」というケースです。
始めて2週間ほどで「変わらない」と判断していないでしょうか。運動の効果は、そんなに早くは表れません。とくに体の内側(筋力や持久力)の変化は、目に見えるようになるまでにある程度の期間が必要です。数週間で見切りをつけてしまうと、これから効果が出るというタイミングで、いちばんもったいないやめ方をしてしまうことになります。
「自分ではやっているつもりでも、振り返ると続いていなかった」というのも、この原因に含まれます。効果が出る前に間隔が空いてしまい、積み上がっていかないのです。
✅ 直し方
- 「最低でも数週間は続ける」と区切りを先に決める
- 効果を判断するのは、それから
では具体的に、踏み台昇降の効果はいつ頃から表れてくるのか。ここは大切なところなので、別の記事「踏み台昇降の効果はいつから?」でくわしく解説しています。あわせて読んでみてください。
原因5 目的と手段のミスマッチ
最後の原因は、「やりたいこと」と「やっていること」がかみ合っていないケースです。目的に対して、踏み台昇降の使い方が合っていないと、当然ながら求める効果は出ません。
たとえば、しっかり足腰の筋力をつけたいのに、台が低くて負荷が軽すぎる。あるいは、血圧や血糖値の改善を狙っているのに、強度が足りず有酸素運動として機能していない。目的ごとに必要な強度は違うのに、それが意識されていないと、努力が空回りしてしまいます。
ここで、いちばん多い誤解にも触れておきます。「痩せたいのに痩せない」というものです。
踏み台昇降は比較的しっかり体を動かす運動ですが、これだけで体重を落とそうとすると、たいていうまくいきません。
痩せるかどうかは「消費したカロリー」と「食べたカロリー」の差で決まります。運動でいくらか消費しても、その分あるいはそれ以上に食べていれば、体重は変わりません。「運動しているから大丈夫」と食事がゆるむと、むしろ増えることさえあります。
理学療法士の立場からお伝えしたいのは、踏み台昇降は「体重を減らす道具」というより「足腰を保ち、体を動きやすくする運動」だということです。続けることで筋肉が保たれ、日常の活動量が上がり、結果として太りにくい体につながっていく——そういう位置づけで捉えると、効果を正しく感じられるようになります。体重計の数字だけを効果の基準にしていると、この運動の本当の価値を見落としてしまいます。
✅ 直し方
- まず「何のためにやるか」をはっきりさせる
- 筋力アップ→少しきついと感じる高さに
- 血圧・血糖対策→息が弾む強度を一定時間キープ
- ダイエット→運動だけに頼らず食事とセットで
とくに高血圧の親御さんにさせる場合は、始める前に踏み台昇降をさせても大丈夫か(やっていい人・中止の目安)も確認しておくと安心です。
👨⚕️ もくもくポイント
踏み台昇降は体重を減らす道具というより、足腰を保つ運動です。体重計の数字だけを基準にすると、本当の値打ちを見落とします。痩せたいなら食事とセットで考えましょう。
高齢の親にさせている場合の注意点

ここまでは自分でやる場合にも親にさせる場合にも共通する話でしたが、高齢の親御さんにすすめているご家族には、追加で気をつけてほしい点があります。若い世代より体の余力が少ないぶん、同じ「効果が出ない」でも、放っておくと膝を痛めたり転倒につながったりするからです。チェックの視点は3つです。
① 膝の向きを見てあげる
昇るときに膝がつま先より内側に入っていないか、横から見てあげてください。膝が内に入ったままだと効果が出ないだけでなく、膝を痛める原因にもなります。「つま先と膝、同じ向きだよ」と一声かけるだけで変わることが多いです。
② 手すりに頼りすぎていないか
高齢の方は安全のために手すりが必要ですが、腕で体を引き上げてしまうと足の運動になりません。かといって外すのは危険です。手すりは「軽く添えてバランスを取る」使い方が理想で、そのうえで無理のない範囲で足に体重を乗せられているか、様子を見てあげてください。
③ 台の高さは安全第一で
効果を出そうと高くしすぎると、膝や股関節の負担が大きくなり、痛みや転倒のリスクが上がります。親御さんの場合は、効果よりもまず「痛みなく、安全に続けられること」を優先してください。低めから始めて、余裕が出てきたら少しずつ、が鉄則です。
⚠️ 転倒に注意:そばで見守れるときに
踏み台昇降は転倒の可能性がある運動です。とくに始めたばかりの頃や、体調のすぐれない日は、必ず誰かが近くにいる状況で行うようにしてください。
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それでも「効果を感じない」人へ ― もう一つの見方

ここまでの5つの原因を見直しても、それでも「効果が実感できない」という方がいます。これは6つ目の原因ではありません。高さもフォームも続けている期間も問題ないのに、なぜか効果を感じられない——そんな方に、最後にお伝えしたい見方があります。それは、「効果」の物差しそのものを、少し変えてみるということです。
📝 訪問現場より
以前、訪問先でこんな方がいました。要支援で、身の回りのことはご自分でできる方でしたが、自主トレとして続けていた踏み台昇降について「効果があるのか、よく分からない」と相談されました。
拝見すると、高さもフォームも継続も、問題ありませんでした。つまり、原因1〜5のどれにも当てはまらない。ではなぜ「効果がない」と感じるのか。話をよく聞くと、この方が思い描く「効果」が、若い頃のように動ける状態だったのです。
そこで、太ももやふくらはぎの太さ、そして椅子から5回立ち上がるのにかかる時間などを測って、経過を一緒に見ていくことにしました。すると、年齢を重ねているのに、これらの数値が落ちていない。私はこうお伝えしました。「昔のように走れるようになる、という意味では確かに派手な変化はありません。でも、年を取っていく中でこれだけ体を保てているのは、まぎれもなくこの運動の効果ですよ」と。
筋力は40歳頃から少しずつ減っていくとされています。本来なら下がっていくはずのものが、下がらずに保たれている。これは「変化がない」のではなく、「衰えを食い止められている」という立派な成果なのです。
その方は、「年を取っても体が衰えていない、それに意味があるんだね。これからはそういう見方をしていけばいいんだ」と、納得して続けてくださいました。
この視点は、親御さんにさせているご家族にも、そして自分のためにやっている方にも、そのまま当てはまります。とくに40代・50代の方にお伝えしたいのは、自分の健康を保つことは、いずれ来る親の介護に備えることでもあるということです。介護は体力勝負の場面が少なくありません。自分が倒れてしまっては、親を支えることもできません。
今の運動で「衰えを食い止められている」なら、それは自分のためであると同時に、大切な家族を支える土台にもなっているのです。
派手な変化だけが効果ではありません。保てていること自体が、努力の結果。この見方を持てると、踏み台昇降はぐっと続けやすくなります。
👨⚕️ もくもくポイント
昨日と同じように動けている——それも立派な効果です。下がって当たり前のものを保てているのは、続けてきた人にしかできないこと。その積み重ねが、いつか家族を支える力になります。
私が訪問先でも勧めている踏み台
さまざまな踏み台を試してきた中で、安定感があり高さ調節もできるこちらを患者さんにもすすめています。グラつきが少ないと踏み込みがしっかりでき、運動効果が出やすくなります。
まとめ
踏み台昇降で「効果が出ない」「意味がない」と感じるとき、その原因はだいたい次の5つのどれかです。最後に、この記事のポイントを振り返っておきましょう。
📝 まとめ
- ✅ 原因1:台の高さが合っていない(低すぎ・高すぎ)
- ✅ 原因2:回数・頻度が足りない
- ✅ 原因3:フォームが崩れている(手すり・膝・降り方)
- ✅ 原因4:続けている期間が短い
- ✅ 原因5:目的と手段のミスマッチ
- ✅ それでも実感できないときは「維持できている=効果」と見方を変える
そして、5つを見直しても効果を実感できないときは、「効果」の見方を変えてみてください。年齢を重ねる中で今の状態を保てているなら、それは衰えを食い止められているということ。保てていること自体が、立派な効果です。
この記事で繰り返しお伝えしたことを、2つの言葉にまとめます。ひとつは「量より質」。回数を増やすより、正しいフォームで行うほうが効果は出ます。もうひとつは「維持も効果」。派手な変化がなくても、続けている価値は確かにあります。
自分の健康のためにも、親御さんを支える土台としても、踏み台昇降は正しく続ければ必ず力になります。今日から、やり方と見方を少し見直してみてください。
・踏み台昇降運動における運動強度の信頼性についての検討(日本理学療法学術大会)
・踏み台昇降運動と踏み台昇降テスト(健康長寿ネット)
・健常成人における階段昇降の下肢・腹筋の筋活動(九州理学療法士・作業療法士合同学会誌)
・サルコペニアとは(健康長寿ネット)
・レジスタンス運動の効果と方法(健康長寿ネット)


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