認知症のステージとは?初期から末期まで段階別に家族の対応を解説

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📋 この記事でわかること

  • ✔ 認知症の初期・中期・末期でどんな変化が起きるか
  • ✔ 各ステージで家族がすべき具体的な対応
  • ✔ 「今の段階」を見極めるためのサイン
もくもく

・理学療法士歴15年|訪問リハビリ12年|累計12,000件以上の訪問
・在宅生活の専門家:小さなお子さんから難病、高齢の方まで幅広くサポート
・現場目線の発信:現場で培った「長く・安全に自宅で過ごすための工夫」を公開中

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家族
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お義母さん、最近同じことを何度も聞いてくるんだけど…これって認知症?どのくらい進んでるのかしら

もくもく
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ステージによって対応が全然違うんですよ。今の状態を確認しながら、一緒に考えていきましょう

認知症は、ある日突然すべてがわからなくなる病気ではありません。初期・中期・末期と段階的に進行し、各ステージで症状も、家族に求められる対応も変わってきます。

この記事では、訪問リハビリの現場で12年・12,000件以上の経験を持つ理学療法士が、認知症の進行ステージごとに「何が起きるか」「家族は何をすればいいか」をわかりやすく解説します。

認知症のステージとは?進行を3段階で理解しよう


初期・中期・末期の分け方と目安

ステージ目安の状態
初期日常生活はほぼ自立。物忘れや繰り返しが目立ち始める
中期日常生活に介助が必要になる。BPSD(徘徊・妄想など)が出やすい
末期身体機能も低下。食事・移動・意思疎通が困難になる

医療現場ではFASTやCDRといった評価スケールが使われますが、家族が「だいたいどのくらい」を把握するにはこの3段階が一番わかりやすいです。


「うちの親は今どの段階?」を知る3つのサイン

📊 今の段階を確認する

🟢 初期のサイン

・同じことを何度も聞く、話す
・約束や予定を忘れる
・財布や鍵の置き場所を頻繁に忘れる

🔵 中期のサイン

・着替えや食事に介助が必要になる
・怒りっぽくなる、夜中に起き出すなど行動の変化が出る
・家族の顔や名前を間違えることがある

🔴 末期のサイン

・歩行が不安定、または寝たきりに近い状態
・食事をうまく飲み込めなくなる
・言葉でのやりとりが難しくなる

【初期】本人がまだわかる時期の対応

初期は、本人がまだ自分の変化に気づいている時期です。「なんかおかしい」と不安を感じている本人だからこそ、家族の関わり方がその後の介護の質を大きく左右します。


早期受診が大切な理由

📝 訪問現場より

「もっと早く病院に連れて行けばよかった」。訪問の現場でこの言葉を何度聞いたかわかりません。

診断を受けて内服治療を始めることがどこまで進行を遅らせるかは個人差があります。それでも「早く気づいていたら違ったのかも」という後悔は、ご家族の心に長く残ります。

国立長寿医療研究センターの研究によると、MCIや認知症初期段階からの早期介入により、認知機能の低下が抑制できるというエビデンスが蓄積されつつあります。かかりつけ医への相談、または地域の「もの忘れ外来」への受診が第一歩です。

出典:国立長寿医療研究センター「J-DEPP」

👨‍⚕️ もくもくポイント

同じことを繰り返すのは「歳のせい」ではなく、早期受診のサインかもしれません。まだ本人がわかる今だからこそ、受診と話し合いを早めに始めましょう。


初期にやっておくべきこと(意思確認・環境整備)

初期は「本人の意思を確認できる最後のチャンス」かもしれません。

✅ 今のうちにやっておきたいこと

  • 今後の介護方針・療養場所について本人と話し合う(ACP
  • 財産管理・成年後見制度について検討する
  • 自宅の危険箇所(段差・浴室など)を確認し、転倒予防の環境整備をする
  • かかりつけ医・ケアマネジャーとの連携を始める

厚生労働省の意思決定支援ガイドライン(令和7年3月改訂)でも、「認知症の症状にかかわらず、本人には意思があり、意思決定能力を有することを前提とする」とされています。

出典:厚生労働省「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第2版)」令和7年3月


本人への接し方とNGワード

訪問リハビリの現場で、家族から「どう接したらいいか」と聞かれることがよくあります。そのたびに「間違いを指摘するより、肯定的な声かけを意識してみてください」とお伝えしています。

あるご家族が実践してくれたところ、「前よりちょっとしたことで怒らなくなった」と話してくれました。言葉ひとつで、本人の穏やかさは変わります。

❌ 言いがちな言葉✅ 言い換え
「さっきも言ったでしょ」「そうだったんですね、もう一度一緒に確認しましょうか」
「忘れてますよ」「一緒に確認してみましょうか」
「危ないからダメ」「こうすると安全ですよ」
「なんでわからないの」「難しいですよね、一緒にやりましょう」

否定・訂正・叱責は、本人の不安と混乱を強めるだけです。「そうですね」「一緒に」という言葉を意識するだけで、日々のやりとりがずっと穏やかになります。

【中期】介護負担が増す時期の対応

中期になると、日常生活のあちこちで介助が必要になり、家族の負担が一気に増えます。ニッセイ基礎研究所の調査では、重度になるほど「誰かに任せてしまいたい」と感じる家族が半数を超えるというデータがあります。

出典:ニッセイ基礎研究所「認知症介護の実態(2)-家族介護者の困りごとと負担感」


中期に変わること-「できない」が増える段階

  • 日常生活動作の低下:着替え・入浴・トイレなどに介助が必要になる
  • BPSD(行動・心理症状)の出現:徘徊・幻覚・妄想・昼夜逆転・暴言など
  • 家族の顔・名前の混乱:子どもや配偶者を間違えることが増える

📝 訪問現場より

「怒っているのは性格が悪くなったのか、認知症のせいなのか」。家族がここで混乱すると、本人を叱ってしまったり、介護と思わずに関係が悪化したりすることがあります。

訪問の現場でも、この時期に家族関係がこじれてしまうケースを多く見てきました。変化の多くは「病気による症状」です。まずそこを理解することが、中期の介護の出発点になります。


「できないからやらせない」ではなく「一緒にやる」

中期でよくある落とし穴が、「できなくなったから全部やってあげる」という対応です。全部を代わりにやってしまうと、残っている機能がさらに低下し、本人の意欲や自尊心も失われていきます。

💬 利用者さんの言葉より

「前よりできなくなってきたから、やらせるのをやめていた。でも一緒にやるようにしたら、その時間がすごく穏やかで。今思えばあの時間が一番よかった」

— 訪問先の利用者さんの言葉

👨‍⚕️ もくもくポイント

できなくなったことを全部やってあげるより、一緒にやる時間を大切に。残っている力を引き出す関わりが、本人の穏やかな毎日につながります。


行動には意味がある-BPSD(周辺症状)との向き合い方

徘徊・繰り返し・突然の怒り――こうした行動は「問題行動」に見えますが、本人なりの理由があることがほとんどです。パーソン・センタード・ケアの考え方では、その行動の背景にある気持ちを理解しようとすることが基本です。

出典:公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「パーソン・センタード・ケア」

  • まず否定しない
  • 「どうしたの?」と穏やかに声をかける
  • 行動を止めるより、気持ちに寄り添う

👨‍⚕️ もくもくポイント

行動を止めようとする前に、まず「どうしたの?」と声をかけてみてください。その行動には、本人なりの理由があります。


介護サービスを使うタイミング

中期は「一人で抱えない」ことが最重要です。

  • デイサービス・デイケア:日中の居場所と本人の社会参加
  • 訪問介護:身の回りのケアのサポート
  • ショートステイ:家族のレスパイト(休息)

「まだ大丈夫」と思っているうちにサービスを導入しておくことが、長期介護を続けるコツです。ケアマネジャーへの相談を早めに始めてください。

【末期】身体ケアが中心になる時期の対応

末期になると、認知機能だけでなく身体機能も大きく低下します。介護の中心が「気持ちのケア」から「身体のケア」へ移り、医療との連携や看取りについて考え始める時期です。


末期に起こる変化(食事・移動・意思疎通)

  • 食事の変化:嚥下機能が低下しむせやすくなる。誤嚥性肺炎のリスクが高まる
  • 移動の変化:歩行が不安定になり、やがて寝たきりに近い状態になることも
  • 意思疎通の変化:言葉でのやりとりが難しくなる。ただし表情やスキンシップへの反応は末期でも残っていることが多い

「言葉が通じなくなった」と感じても、そばにいること・手を握ること・穏やかに話しかけることは本人に届いています。


安全か、本人の望みか-家族が抱える葛藤

📝 訪問現場より

「本人が好きなものを食べさせてあげたい。でも誤嚥が怖い」「外に出たいと言っている。でも転倒したら」。訪問の現場で、この葛藤を一人で抱えている家族をたくさん見てきました。

どちらを選んでも罪悪感が残る。正解がないからこそ、つらい。

厚生労働省の意思決定支援ガイドライン(令和7年3月改訂)では、「認知症の症状にかかわらず本人には意思があることを前提とし、本人の意思を尊重することが基本」とされています。一人で決めようとせず、専門職と一緒に「その人らしい時間」を考えていきましょう。

出典:厚生労働省「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第2版)」令和7年3月

👨‍⚕️ もくもくポイント

安全か、本人の望みか。その葛藤を一人で抱えないでください。正解がなくても、専門職と一緒に考えることが、次の一歩になります。


看取りに向けての準備と気持ちの整え方

末期に入ったら、以下のことを専門職と相談しながら少しずつ整理していきましょう。

  • 入院か在宅かの希望を確認する
  • 胃ろう・点滴などの延命処置についての意向を整理する
  • 訪問診療・訪問看護の導入を検討する

訪問の現場で感じることがあります。進行を受け入れた家族と、受け入れられずにいる家族とでは、本人への関わり方が大きく変わります。「前はこんな人じゃなかった」という比較ではなく、「今のこの人」をそのまま見ようとする。それだけで、本人が穏やかでいられる時間が増えていきます。

看取りが近づくにつれ、家族も深く消耗していきます。「もっとこうしてあげればよかった」という後悔は誰にでも訪れます。ここまで寄り添ってきたこと自体が、本人への大きな贈り物です。自分を責めすぎないでください。

まとめ


📝 まとめ

  • 早く気づいて、早く動く:初期は「本人がまだわかる時期」。受診・意思確認・環境整備を早めに
  • 「できない」ではなく「一緒にやる」:残っている力を引き出す関わりが穏やかな毎日につながる
  • 一人で抱え込まない:専門職・サービス・相談窓口を早めに使うことが長く介護を続ける鍵

認知症の進行は人によって異なります。「うちの親はどのステージ?」と思ったら、まずはかかりつけ医や地域包括支援センターに相談してみてください。

あなたが今日も親のそばで悩んでいること、それ自体が愛情の証です。介護者自身のメンタルケアや相談窓口については、「介護うつかも?と思ったら」でくわしく解説しています。

【ご注意】本記事は、理学療法士の資格を持つ筆者が在宅訪問の経験をもとに作成した情報提供を目的としたものです。個人の状態や環境によって適切な対応は異なります。医療・介護に関する判断は、担当の医師・ケアマネジャー・専門職にご相談ください。

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