仕事と介護の両立を諦めないために|介護離職を防ぐ4つの方法

介護離職を防ぐための方法を解説する記事のアイキャッチ画像 介護サービス・制度

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📋 この記事でわかること

  • ✔ 仕事と介護を両立するための職場制度の正しい使い方
  • ✔ 家族・サービスへの頼り方と役割分担のコツ
  • ✔ 介護保険の隙間を埋める保険外サービスという選択肢
もくもく

・理学療法士歴15年|訪問リハビリ12年|累計12,000件以上の訪問
・在宅生活の専門家:小さなお子さんから難病、高齢の方まで幅広くサポート
・現場目線の発信:現場で培った「長く・安全に自宅で過ごすための工夫」を公開中

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家族
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仕事しながら親の介護って、正直もう限界に近い気がして…でも辞めたくはないんです

もくもく
もくもく

その不安、すごくよくわかります。でも少し仕組みを変えるだけで、ずっと楽になれる可能性がありますよ


訪問12年、12,000件以上の在宅現場を見てきた理学療法士の視点からお伝えします。仕事と介護の両立に悩む家族を何人も見てきましたし、介護を理由に仕事を辞め、その後悔を口にする方を目の当たりにしてきました。離職せずに続けられた人に共通するのは「完璧にやろうとしなかったこと」でした。職場の制度・家族の協力・介護サービス、使える手段を組み合わせて「無理のない仕組み」を作ることが、介護を長く続けるいちばんの近道です。

仕事と介護の両立がきつい本当の理由

仕事と介護の板挟みで悩む女性のイラスト

「仕事と介護の両立」と聞くと、体力的な問題を思い浮かべる方が多いかもしれません。でも実際の現場を見ていると、限界を迎えるのは体よりも先に「気持ち」であることがほとんどです。


年間9万人以上が「介護離職」している現実

厚生労働省の「雇用動向調査」(令和6年)によると、介護・看護を理由に仕事を辞めた人は2024年に約9.3万人にのぼります。2000年の3.8万人と比べると、2.4倍以上に増加しています。

出典:厚生労働省「令和6年 雇用動向調査」(公益財団法人 生命保険文化センター)

そのうち女性が約63%を占めており、40〜50代の働き盛りの世代が介護と仕事の板挟みになっているのが現状です。

📝 訪問現場より

「仕事を辞めて親の介護に専念すべきか、それとも仕事を続けるべきか」——そんな葛藤を抱えている方を、訪問現場でも何人も見てきました。自分の人生やキャリアへの思いと、親への恩返し・責任感の間で揺れている方がほとんどです。

答えはどちらかを選ぶことではなく、両立できる仕組みを作ることにあります。仕事を辞めなくても、介護を続けることはできます。

💬 利用者さんの言葉より

「介護が終わってから気づいたんですが、完全に辞めなくてもよかったかもしれない。休業とか時短とかをうまく使いながら続けていく方法もあったなって」

— 親が亡くなった後、訪問先で聞いた言葉


辞める理由の多くは介護の重さより自分の限界

介護離職というと「介護が大変すぎて辞めた」と思われがちです。しかし厚生労働省委託の調査によると、離職理由の上位に挙げられたのは「自分の心身の健康状態の悪化」で、男性25.3%、女性32.8%に達しています。

出典:厚生労働省委託「仕事と介護の両立に関する労働者調査」

つまり、介護そのものより「自分が追い詰められたこと」が引き金になっているケースが多いのです。

👨‍⚕️ もくもくポイント

介護離職の理由として「介護が大変すぎた」と答える人より「自分の心身が限界だった」と答える人のほうが多いという現実があります。つまり、介護者自身を守ることが、離職を防ぐいちばんの対策になるのです。


介護を続けながら自分のメンタルに不調を感じているなら、こちらもあわせてご覧ください。→ 介護うつかも?と思ったら|訪問12年のPTが現場で見てきたサインと対処法

📝 訪問現場より

あるご利用者の奥様は、「自分がやらなければ」という責任感がとても強い方でした。家事も介護も完璧にこなそうとした結果、精神的に限界を迎えてしまい、最終的には施設入所という選択をせざるを得なくなりました。

在宅での介護を続けたいという気持ちは誰よりも強かった。でも早めに誰かに頼れていれば、違う結果になっていたかもしれません。「完璧にやろうとしないこと」が、長く続けるための第一歩だと、現場で何度も実感してきました。

まず職場の制度を使い倒す

職場で介護休業について相談する女性のイラスト

「介護が始まったら仕事は続けられない」と思い込んでいる方は少なくありません。でも実は、職場にはあまり知られていない制度がいくつもあります。まずそれを知ることが、離職を防ぐ第一歩になります。


介護休業は「介護する休み」ではなく「体制を整える休み」

介護休業は、通算93日まで取得できる制度です。ただし多くの方が誤解しているのですが、この休業は「自分が介護をするための休み」ではありません。厚生労働省は「今後の仕事と介護の両立体制を整えるための期間」として位置づけています。

出典:厚生労働省「介護休業制度 特設サイト」

つまり、ケアマネジャーに相談してサービスを組み立てたり、きょうだいと役割分担を話し合ったりするための時間として使うものです。

ところが厚生労働省の調査によると、介護休業の取得率は2022年時点で男性1.60%、女性1.55%にとどまっています。育児休業の取得率(女性86.6%)と比べると、制度があってもほとんど使われていない現実があります。

出典:厚生労働省「令和5年度 雇用均等基本調査」(日本の人事部)

また、介護休業中は雇用保険から介護休業給付金として、休業前の賃金の67%が支給されます(雇用保険に加入していることが条件です)。収入がゼロになるわけではないため、経済的な不安から休業をためらっている方はぜひ確認してみてください。

「そんな制度があるとは知らなかった」という方こそ、まず職場の人事担当者やケアマネジャーに相談してみてください。

👨‍⚕️ もくもくポイント

介護休業を「介護のために仕事を休む制度」と思って使わずにいる方が多くいます。本来は「仕事と介護を両立できる仕組みを作るための時間」です。ケアマネジャーへの相談、きょうだいとの話し合い、サービスの手続き、そのすべてに使える93日間だと覚えておいてください。


介護休暇・時短勤務・テレワークという選択肢

介護休業のほかにも、仕事を続けながら使える制度があります。

介護休暇は年5日(対象家族が2人以上の場合は年10日)まで取得できる制度で、通院の付き添いや役所の手続きなど、突発的な対応に使えます。介護休業と異なり、1日単位・半日単位でも取得できるため、使い勝手がいい制度です。

時短勤務は所定労働時間を短縮して働く制度で、デイサービスの送迎時間に合わせて勤務時間を調整するといった使い方ができます。またテレワークが選択肢にある職場では、通勤時間を介護の時間に充てることもできます。2025年4月からは介護のためのテレワーク導入が事業主の努力義務となり、活用しやすい環境が整ってきています。

どの制度も「使える状況かどうか」は職場によって異なります。まず上司や人事担当者に相談することが大切です。

家族内で役割を分担する

家族が集まって介護の役割分担を話し合うイラスト

職場の制度を使いながらも、それだけでは追いつかないのが介護の現実です。仕事と介護を長く両立するには、家族の中で役割を分担することが欠かせません。


一人で抱え込まないことが在宅介護を長続きさせる

介護を始めると、気づかないうちに「自分がやらなければ」という気持ちが強くなっていきます。特に同居している家族や、親の近くに住んでいる人ほど、その傾向が強くなりがちです。

しかし一人に負担が集中すると、体力・精神力・時間のすべてが削られていきます。前のセクションでお伝えしたように、介護離職の引き金になるのは多くの場合、介護そのものではなく介護者自身の限界です。

大切なのは「自分が倒れないこと」です。介助者が倒れてしまえば、在宅介護そのものが続けられなくなります。一人で完璧にやろうとしないことが、結果的に親を守ることにつながります。


きょうだいへの頼り方・話し合いのコツ

遠くに住んでいるきょうだいや、普段介護に関わっていない家族に頼ることに、罪悪感を感じる方は少なくありません。でも役割分担は「負担を押し付けること」ではなく「介護を長く続けるための仕組みづくり」です。

現状を具体的に伝えること
「大変」という言葉だけでは伝わりません。週に何回介護しているか、どんなことに時間がかかっているかを具体的に話しましょう。

できることを小さく頼むこと
「週末だけ様子を見に来てほしい」「病院の付き添いを月1回だけお願いしたい」など、具体的で小さな依頼のほうが動いてもらいやすくなります。

お金の分担も選択肢に入れること
物理的に動けないきょうだいには、介護サービス費用の一部を負担してもらうという形もあります。公平感が生まれ、関係が壊れにくくなります。

👨‍⚕️ もくもくポイント

遠くに住むきょうだいに頼ることへの罪悪感を感じる必要はありません。訪問現場で見てきた中で、介護を長く続けられた家族ほど、上手に人に頼ることができていました。頼ることは弱さではなく、介護を続けるための戦略です。

きょうだいへの役割分担の具体的な進め方については、こちらの記事でもくわしく解説しています。→ 親の介護を兄弟で分担するには?一人で抱え込む前にできること

介護保険サービスを最大限組み合わせる


職場の制度と家族の協力が整ったら、次は介護保険サービスをうまく組み合わせることを考えましょう。サービスを「あるから使う」のではなく、「仕事のスケジュールに合わせて設計する」という視点が大切です。


仕事の時間に合わせてデイとショートを使う

デイサービスは日中の時間帯に親を預けられるため、働く家族にとってもっとも使いやすいサービスのひとつです。週3〜5回のペースで組み合わせることで、仕事に集中できる時間をまとめて確保できます。

ショートステイ(短期入所)は数日〜数週間単位で施設に泊まってもらえるサービスです。繁忙期や出張が重なる時期、あるいは家族自身が体調を崩しそうなときに使うことで、介護者の息抜きの時間を作ることができます。

「ショートステイは本人が嫌がる」という声をよく聞きます。訪問現場でも最初は拒否されるケースが多いのですが、「私が倒れてしまいそうで怖い」という気持ちを正直に伝えると、本人が納得してくれることがあります。


限度額の中で何を優先するか

介護保険には要介護度ごとに支給限度額があります。デイサービス・ショートステイ・訪問介護などをすべて使おうとすると、限度額に達してしまうことも少なくありません。

その場合、優先順位の考え方はシンプルです。「仕事を続けるために絶対に必要な時間帯のサービス」を最優先にすることです。たとえば日中の仕事時間をカバーするデイサービスを軸に置き、残りの枠でショートやヘルパーを組み合わせるイメージです。

何をどの順番で使うかは、ケアマネジャーと一緒に職場のスケジュールを共有しながら決めていくのがおすすめです。「仕事をしながら介護している」という事情をきちんと伝えることで、より実態に合ったケアプランを作ってもらえます。


📝 訪問現場より

以前担当していたご利用者の奥様は、もともと正社員として働いていましたが、夫の介護が必要になったことをきっかけにパートへと働き方を変えました。デイサービスに夫が行っている時間帯に合わせてパートに出るという生活スタイルで、なんとか両立を続けていました。ただ、仕事から帰ってきたあとに家事と介護が重なる日は体力的にきつく、ショートステイを時々利用するようになりました。最初は夫が「施設には行きたくない」と強く抵抗していましたが、「私が倒れたらあなたの介護ができなくなる」という言葉に、少しずつ納得してくれるようになったそうです。

「仕事を完全に辞めなかった」ことが、奥様自身の生きがいや収入を守ることにもつながっていました。

それでも足りない「隙間」は保険外サービスで埋める

朝に高齢者宅を訪問する介護スタッフのイラスト

職場の制度・家族の協力・介護保険サービスを組み合わせても、どうしても埋まらない「隙間」が出てくることがあります。そこで選択肢のひとつとして知っておいてほしいのが、保険外の自費サービスです。


介護保険が使えない時間帯がある

介護保険には要介護度ごとに支給限度額があります。デイサービスとショートステイを組み合わせると、訪問介護(ヘルパー)に使える枠が少なくなってしまうことが多く、「使いたい時間に使えない」という状況が起きやすくなります。

特に働く家族が直面しやすいのが、朝の隙間時間の問題です。デイサービスの送迎車が迎えに来るのは午前9時前後が多く、それまでの時間帯は家族が対応しなければなりません。しかし仕事の始業時間が早い場合、その時間帯に家を出なければならず、親を一人にしてしまうことへの不安が生じます。

介護保険のヘルパーは限度額の関係で毎朝は頼めない、でも一人にはしておけない。そんな「制度の隙間」が現実として存在しています。

👨‍⚕️ もくもくポイント

「デイの迎えが来るまでの朝の1時間が怖い」という声は、訪問現場でも何度も聞いてきました。介護保険は万能ではなく、制度の隙間は必ず存在します。その隙間を事前に把握しておくことで、慌てずに対処できるようになります。


自費訪問介護という選択肢

こうした隙間を埋める手段のひとつが、介護保険の枠外で利用できる自費訪問介護サービスです。保険の限度額に縛られないため、必要な時間帯にピンポイントで依頼できるのが特徴です。

たとえば「デイの迎えが来るまでの朝1時間だけ見ていてほしい」「仕事が長引いた日の夕方に対応してほしい」といった使い方ができます。費用は全額自己負担になりますが、スポットで使えるため、毎日でなく必要な日だけ依頼するという柔軟な使い方も可能です。

費用の目安は1時間あたり3,000円前後(税込)です。ただし多くのサービスでは最低利用時間が2時間から設定されているため、サービスを選ぶ際は最低利用時間と時間帯の対応状況を事前に確認しておきましょう。

自費訪問介護サービスのひとつにイチロウがあります。介護保険のサービスでは対応できない時間帯や内容にも対応しており、隙間を埋めるサービスとして利用できます。



自費サービスはあくまで「保険内サービスでは埋まらない部分を補う手段」のひとつです。まずはケアマネジャーに相談して保険内で組み立て、それでも対応できない部分に自費を組み合わせるという順番で考えるとよいでしょう。

自費訪問介護サービスの詳しいしくみや、介護保険のヘルパーとの違いについては、こちらもあわせてご覧ください。
ヘルパーに頼めないこと・自費訪問介護サービスとは


📝 訪問現場より

訪問の中で、ある働く家族からこんな話を聞きました。デイサービスとショートステイをすでにフル活用していたため、介護保険でヘルパーを頼める回数がほとんど残っていなかったそうです。問題は朝でした。仕事に行く時間とデイの送迎時間がどうしても合わず、毎朝親を一人にしてしまう不安を抱えていました。そこで週に数回だけ自費サービスを活用するようにしたところ、「あの朝の罪悪感がなくなった」とおっしゃっていました。

すべてを介護保険でまかなおうとしなくていい。隙間を埋める手段を知っているだけで、気持ちがずいぶん楽になることがあります。

まとめ:介助者が倒れないことが、いちばんの介護継続条件

仕事と介護の両立は、一人で完璧にやろうとすると必ず限界が来ます。どの手段も「頼ること」が前提になっています。頼ることは弱さではありません。介助者が倒れてしまえば、在宅介護そのものが続けられなくなります。

📝 まとめ

  • ✅ 介護休業は「介護をするための休み」ではなく「体制を整えるための時間」。給付金(67%)も活用できる
  • ✅ 介護休暇・時短勤務・テレワークなど、職場制度を組み合わせて仕事を続ける選択肢がある
  • ✅ きょうだいへの役割分担は「負担の押し付け」ではなく介護を長く続けるための仕組みづくり
  • ✅ デイとショートを仕事のスケジュールに合わせて設計し、ケアマネジャーと一緒にプランを作る
  • ✅ 制度の隙間は自費訪問介護で補う。保険内で組み立てたうえで、足りない部分に使う

訪問12年の現場で見てきた、両立できた家族に共通していたのはただひとつ。「完璧にやろうとしなかったこと」でした。無理のない仕組みを作ることが、結果的に親を守ることにつながります。

【ご注意】本記事は、理学療法士の資格を持つ筆者が在宅訪問の経験をもとに作成した情報提供を目的としたものです。個人の状態や環境によって適切な対応は異なります。医療・介護に関する判断は、担当の医師・ケアマネジャー・専門職にご相談ください。

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