在宅介護と施設入所、本当に高いのはどっち?訪問12年のPTが費用の実態を解説

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📋 この記事でわかること

  • ✔ 在宅介護と施設入所の月額費用の平均
  • ✔ 要介護度別に使える介護保険サービスの上限
  • ✔ 在宅で見落としがちな介護保険外のコスト
  • ✔ 自己負担を減らせる制度3つ
もくもく

・理学療法士歴15年|訪問リハビリ12年|累計12,000件以上の訪問
・在宅生活の専門家:小さなお子さんから難病、高齢の方まで幅広くサポート
・現場目線の発信:現場で培った「長く・安全に自宅で過ごすための工夫」を公開中

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施設に入れたいけど、お金がすごくかかりそうで…在宅の方が安いのかな?

もくもく
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実は「施設は高い」というイメージと実際の数字は、かなり違うことがあります。今日は具体的な金額を一緒に見ていきましょう。

介護が始まるとき、費用のことを正確に把握できている家族はほとんどいない——これが訪問リハビリに従事して12年、在宅を訪問してきた私の実感です。「施設は高いから在宅で」「在宅は家族が大変だから施設へ」、どちらの判断も多くの場合、具体的な数字ではなくイメージで行われています。この記事では在宅と施設、それぞれの費用の実態を具体的な数字でお伝えします。

介護費用、実はよくわからないまま始まる人がほとんど

介護費用の書類を見て困惑している家族のイラスト

介護が始まるとき、多くのご家族は費用についてほとんど情報を持っていません。

私が訪問してきた家庭でも、「介護保険で要介護度によってどれくらいサービスが使えるか」を正確に知っていた家族はごくわずかでした。

📝 訪問現場より

ある訪問先の家族は、介護保険の仕組みをほとんど知らない状態で介護をスタートしていました。要介護度によって使えるサービスの上限が変わること、自己負担が1〜3割であることも、私が話して初めて知ったと言っていました。

「もっと早く知りたかった」という言葉が印象に残っています。費用の仕組みを知るだけで、選択肢は大きく広がります。

特に多いのが、こんな思い込みです。

  • 「施設はお金がかかるから、在宅の方が絶対安い」
  • 「介護保険があるから、そんなにお金はかからないはず」
  • 「施設といえば特別養護老人ホームのこと」

いずれも完全には正しくありません。まずは介護保険の基本的な仕組みから確認していきましょう。

👨‍⚕️ もくもくポイント

「施設は高い」「在宅は安い」はイメージにすぎません。大切なのは具体的な数字で比較すること。介護保険の仕組みを知ることが、正しい判断の第一歩です。

介護保険の基本:要介護度で使えるサービス量が変わる

介護保険では、要介護度ごとに1ヶ月に使えるサービスの上限額(区分支給限度基準額)が決まっています。この上限を超えた分は全額自己負担になるため、まず自分の親がどの要介護度かを把握することが重要です。

要介護度別の支給限度額一覧

要介護度支給限度額(月額)自己負担1割の場合
要支援150,320円約5,032円
要支援2105,310円約10,531円
要介護1167,650円約16,765円
要介護2197,050円約19,705円
要介護3270,480円約27,048円
要介護4309,380円約30,938円
要介護5362,170円約36,217円

出典:厚生労働省「サービスにかかる利用料」

自己負担は1〜3割、所得で決まる

自己負担の割合は前年の所得によって1〜3割に決まります。多くの高齢者は1割負担ですが、一定以上の所得がある場合は2割、現役並みの所得がある場合は3割になります(厚生労働省より)。

在宅介護にかかる費用の実態

自宅で介護費用を計算している家族のイラスト

在宅介護にかかる費用は、介護保険の自己負担だけではありません。保険外のコストも含めると、思った以上にかかっているご家庭も少なくありません。

月額の平均は5.3万円だが幅が大きい

生命保険文化センターの2024年度調査によると、在宅介護の月額費用の平均は5.3万円です。ただし約半数が5万円未満に収まる一方、15万円以上かかる家庭もあります。

この差は、要介護度や家族の関与度、一人暮らしかどうかによって大きく変わります。

出典:生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」2024年度

見落としがちな介護保険外のコスト

介護保険の自己負担以外にかかる主なコストはこちらです。

  • おむつ・尿取りパッド代
  • 薬代・診察費
  • 嚥下食・介護食の費用
  • デイサービスの食事代・おやつ代

💬 利用者さんの言葉より

「こんなにかかるとは思っていなかった」

— 訪問先のご家族の言葉。介護保険の自己負担だけで計算していたが、おむつ代・嚥下食・デイサービスの食事代なども加わり、トータルで予想をはるかに超えていた。

知っておきたい自治体の補助制度

おむつ代については、自治体によって要介護度に応じたおむつ支給券が受け取れる場合があります。また特定疾患の認定を受けている場合、薬代の自己負担が大きく軽減されることもあります。まずはケアマネジャーや市区町村の窓口に確認してみてください。

家族の関与度で費用は大きく変わる

在宅介護の費用は、家族がどれだけ介護に関われるかで大きく変わります。同居家族が食事・入浴・排泄を担える場合はサービス利用が少なくて済みますが、一人暮らしや家族が遠方の場合はその分サービスに頼ることになり、費用が増えます。なお、介護負担が増えると家族の心身への影響も大きくなります。介護者が抱えるうつのサインと対処法についても、あわせて確認しておきましょう。

👨‍⚕️ もくもくポイント

在宅介護の月額平均は5.3万円ですが、おむつ・嚥下食・デイサービスの食事代など介護保険外のコストを加えると、実際の負担はもっと大きくなります。まず「保険外に何がかかっているか」を書き出してみましょう。

施設入所にかかる費用の実態

介護施設の廊下をスタッフと歩く高齢者のイラスト

「施設」と一口に言っても、種類によって費用は大きく異なります。入れる条件も違えば、月額費用も数万円から30万円以上まで幅があります。

📝 訪問現場より

訪問先のある家族は、特養・老健・有料老人ホームをすべてひとまとめに「施設」と捉えていました。訪問時にそれぞれの違いを説明したところ、「全然違うんですね」ととても驚いていました。

施設の種類を知らないまま「施設は無理」と諦めているご家族は少なくありません。まず選択肢を整理することが大切です。

施設の種類によって費用は全然違う

主な施設の種類と入居条件はこちらです。

  • 特別養護老人ホーム(特養):原則要介護3以上。公的施設のため費用が比較的安い。入居待ちが多い。
  • 介護老人保健施設(老健):要介護1以上。在宅復帰を目指すリハビリ施設。入所期間は3〜6ヶ月が目安。
  • ケアハウス(軽費老人ホームC型):原則60歳以上で自立〜軽度の方が対象。低所得の方向けの公的施設で月額費用が比較的安い。介護度が重くなると退去が必要になるケースもある。
  • 介護付き有料老人ホーム:民間施設。要介護1以上が多い。費用は施設によって大きく異なる。

特養・老健・ケアハウス・有料老人ホームの費用比較

施設種別入居一時金月額費用の目安
特養(多床室)不要約6〜10万円
特養(個室)不要約12〜15万円
老健不要約8〜13万円
ケアハウス不要約6〜15万円
介護付き有料老人ホーム0〜数百万円約20〜30万円

出典:厚生労働省「介護給付費等実態統計」2023年度

入居一時金と月額費用の考え方

民間の有料老人ホームでは入居一時金が必要な場合があります。金額は施設によって0円から数百万円まで幅があります。初期費用を抑える代わりに月額が高くなるケースもあるため、トータルで比較することが重要です。

👨‍⚕️ もくもくポイント

「施設」はひとくくりにできません。特養なら月6〜10万円、有料老人ホームなら20〜30万円と、種類によって費用は大きく異なります。まず「どの施設が選択肢になるか」を要介護度で絞り込みましょう。

介護費用の総額、平均どのくらいかかるのか

月額の話だけでは「介護にトータルでいくらかかるか」がわかりません。生命保険文化センター2024年度調査によると、介護期間の平均は55.0ヶ月(4年7ヶ月)です。この数字を使って、在宅と施設それぞれの総額目安を計算してみます。

在宅介護の総額目安

一時的費用(福祉用具・住宅改修など)の平均47.2万円 + 月額5.3万円 × 55ヶ月 = 約339万円

ただし前述のとおり保険外コストが加わるため、実際の家庭によっては400〜500万円を超えることもあります。

出典:生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」2024年度

施設入所の総額目安

月額13.8万円(施設平均)× 55ヶ月 = 約759万円(生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」2024年度より)。公的施設(特養・老健)であれば月額6〜13万円のため、同期間でも330〜715万円に収まるケースもあります。

これらはあくまで平均を使った目安です。要介護度・家族状況・施設の種類によって大きく変わります。「うちはどのくらいかかるか」をケアマネジャーに相談しながら、ご自身でも試算してみることが重要です。

在宅vs施設、本当に高いのはどっちか

在宅介護と施設入所の費用を比較検討している家族のイラスト

「施設は高い」というイメージを持っているご家族は多いです。しかし実際に数字で比較すると、必ずしもそうとは言えないケースがあります。

📝 訪問現場より

在宅介護が明らかに限界に近い状態でも、「施設はお金がかかるから絶対に家で見る」と言っていた家族がいました。毎日疲弊しているのが見ていてわかりました。

後から思うと、その家族が施設費用を具体的に計算したことがあったかどうかはわかりません。「施設は高い」というイメージだけで判断していた可能性が高いと感じています。

数字で比較すると見えてくること

生命保険文化センター2024年度調査によると、月額費用の平均は在宅が5.3万円、施設が13.8万円です。数字だけ見ると施設の方が高く見えます。

ただしこれは平均値です。在宅は介護保険外のコストを加えると実際の負担はもっと大きくなります。一方、特養やケアハウスなら月額6〜15万円に収まるケースもあります。

在宅が高くなるケース、施設が安くなるケース

在宅費用が高くなりやすいケース:

施設費用が抑えられるケース:

  • 特養に入居できた場合(要介護3以上)
  • 低所得世帯で負担軽減制度が適用される場合
  • ケアハウスを利用できる場合

大切なのは「施設は高い」「在宅は安い」というイメージではなく、実際の数字で比較することです。

👨‍⚕️ もくもくポイント

在宅か施設かの判断は、費用だけでなく家族の関与度と要介護度をセットで考えることが重要です。「今の状況で在宅を続けることが本当に最善か」を、具体的な数字を持って考えてみてください。

自己負担を減らす制度を知っておく

介護費用の自己負担を減らせる制度が複数あります。知らないまま使っていないご家族も多いため、必ず確認しておきましょう。

高額介護サービス費制度

1ヶ月の介護保険サービスの自己負担額が一定の上限を超えた場合、超えた分が払い戻される制度です。上限額は所得によって異なり、住民税非課税世帯は月額24,600円が上限となります。申請が必要なので、初めて上限を超えた月に市区町村へ申請しましょう(厚生労働省より)。

出典:厚生労働省「介護保険サービスにかかる利用料」

高額医療・高額介護合算制度

医療費と介護費の自己負担を合算して、年間の上限額を超えた分が払い戻される制度です。一般世帯では年間56万円が上限となります。医療費と介護費の両方が重なりがちなご家庭では特に活用できます(厚生労働省より)。

医療費控除との違い

介護サービス費の一部は確定申告で医療費控除の対象になります。高額介護サービス費の払い戻しを受けた場合は、その分を差し引いた金額が控除対象となります。ケアマネジャーや税務署に確認することをおすすめします。

👨‍⚕️ もくもくポイント

高額介護サービス費制度は、申請しないと払い戻しされません。自治体から案内が届いたら必ず期限内に申請しましょう。

まとめ

📝 まとめ

  • ✅ 在宅介護の月額平均は5.3万円だが、保険外コストを含めると実際はもっとかかる
  • ✅ 介護費用のトータルは在宅で約339万円、施設(平均)で約759万円が目安(介護期間平均55ヶ月で試算)
  • ✅ 施設は種類によって月額6万円〜30万円以上と幅が大きい
  • ✅ 要介護度によって使える介護保険サービスの上限が変わる
  • ✅ 高額介護サービス費・合算制度・医療費控除で自己負担を減らせる

大切なのは、なんとなくのイメージではなく具体的な数字で判断することです。まずはケアマネジャーに相談しながら、ご家族の状況に合った選択をしてください。

【ご注意】本記事は、理学療法士の資格を持つ筆者が在宅訪問の経験をもとに作成した情報提供を目的としたものです。個人の状態や環境によって適切な対応は異なります。医療・介護に関する判断は、担当の医師・ケアマネジャー・専門職にご相談ください。

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