認知症の徘徊が心配な家族へ|GPSおすすめ機種と「持たせ方」を訪問PTが解説

認知症の徘徊が心配な家族へGPSで見守りをする様子のイメージ 認知症ケア

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📋 この記事でわかること

  • ✔ 認知症の徘徊対策にGPSが必要な理由
  • ✔ GPS選びで失敗しないための3つのポイント
  • ✔ 持たせるのが難しい方への靴型GPSという選択肢
もくもく

・理学療法士歴15年|訪問リハビリ12年|累計12,000件以上の訪問
・在宅生活の専門家:小さなお子さんから難病、高齢の方まで幅広くサポート
・現場目線の発信:現場で培った「長く・安全に自宅で過ごすための工夫」を公開中

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認知症の家族が一人で外に出てしまった。そんな経験、ありませんか?

「少し目を離した隙にいなくなっていた」「探しても見つからず、結局警察に連絡した」——訪問リハビリの現場で、そんな話を家族から聞くことは珍しくありません。

警察庁のデータによると、令和4年に認知症またはその疑いで行方不明になった方は18,709人(構成比22.0%)。これは1日あたり約51人が行方不明になっている計算です。

出典:警察庁「令和4年における行方不明者の状況」

「うちの親に限って」と思っていても、認知症の徘徊はいつ起こるかわかりません。

この記事では、訪問リハビリ歴12年・訪問件数1万件超の理学療法士が、認知症の徘徊対策にGPS見守り端末を選ぶ理由と、実際に役立つ持たせ方をお伝えします。AirTagではダメな理由も、現場目線で正直にお話しします。

家族
家族

GPSって本当に効果あるんでしょうか…設定が難しそうで、私が使いこなせるか不安で。

もくもく
もくもく

大丈夫ですよ。最近のGPS端末はスマホアプリと連動するだけで、設定は3分もあれば完了します。今日は選び方と持たせ方、両方をわかりやすくお伝えしますね。

認知症の徘徊で家族が直面する現実

認知症の高齢者が一人で外出している様子のイメージ

気づいたときには遠くまで歩いていた

認知症の中核症状のひとつに「見当識障害」があります。今いる場所や時間の感覚がわからなくなるため、「家に帰ろう」と思って歩き出しても、どこに向かっているかわからなくなってしまうことがあります。これが徘徊の主な原因です。本人は「ただ歩いているだけ」という感覚なので、止めようとすると混乱や抵抗につながることもあります。

📝 訪問現場より

私が担当していた認知症の方のご家族から、こんな話を聞きました。最初は家の周りをぐるっと歩く程度だったので、家族も「近くにいるだろう」と思っていたそうです。

ところがある日、いつもより帰りが遅いと思って外に出てみると、どこにも姿が見えない。近所を探しても見つからず、最終的に警察に相談することになったと言います。後日、かなり遠くまで歩いていたことがわかりました。

認知症の徘徊は、最初は近くでも、気づかないうちに行動範囲が広がっていくことがあります。「今まで大丈夫だったから」という安心感が、対策を後回しにしてしまう一番の原因です。

行方不明から3日で生存率が急激に下がる

東京都健康長寿医療センター研究所の研究によると、認知症による行方不明者は2020年だけで17,656人にのぼり、そのうち527人が死亡しています。

⚠️ 3日が命のライン

行方不明から3日目以降は生存して発見される可能性が急激に低くなるというデータがあります。「見つかるだろう」と待つのではなく、GPSで早期に居場所を特定する仕組みが重要です。

出典:東京都健康長寿医療センター研究所「認知症による行方不明-いのちを守るために必要なことー」

早期発見がいのちを守る

⚠️ 行方不明後の死因で多いのは

同研究では死因として溺死と低体温症が多いと報告されています。水辺への転落や長時間の屋外滞在は、危険を回避する判断力が低下した認知症の方に特に深刻なリスクです。

だからこそ、「いなくなってから探す」ではなく、「いなくなる前に居場所がわかる仕組みを作る」ことが大切です。そのための手段として、GPS見守り端末が注目されています。

なお、「まだ認知症かどうかわからない」という方は、こちらの記事も参考にしてください。→認知症の初期症状チェックリスト|家族が気づきやすい10のサイン

徘徊対策にGPSが選ばれる理由

GPSで居場所がわかると家族の生活が変わる

📝 訪問現場より

先ほどのご家族は、警察に相談したことをきっかけにGPS見守り端末を導入しました。導入前は「目を離した隙にいなくなったら」という不安から、他の家族が帰宅するまで外出を控えていたそうです。

ところがGPSを導入してから、近くのスーパーへの買い物程度であればスマホで居場所を確認しながら安心して出かけられるようになったと話してくれました。

GPSは認知症の方を「監視するツール」ではありません。家族が少しだけ自由になるためのツールです。介護をしながら自分の生活も守る、そのための選択肢として、ぜひ知っておいてほしいと思います。

👨‍⚕️ もくもくポイント

GPSは監視ツールではなく、家族が少し自由になるためのツールだと私は思っています。買い物に行けるようになったと話してくれた家族の顔が今も忘れられません。

SIM内蔵GPSでないと意味がない理由

GPS見守り端末を選ぶとき、まず確認してほしいのがSIM内蔵かどうかです。

SIMが内蔵されていない端末は、Wi-Fiや近くのスマホの電波を使って位置情報を送信します。そのため、屋外や電波の届きにくい場所では位置情報が更新されないことがあります。徘徊対策として使う場合、これでは意味がありません。

⚠️ SIM非内蔵GPSは徘徊対策に使えない

Wi-Fi経由や他のスマホの電波を借りるタイプは、屋外や人通りの少ない場所では位置情報が更新されません。徘徊対策として使うならSIM内蔵一択です。

なお、国立長寿医療研究センターの調査(2020年度)によると、市区町村がGPS貸与などの見守りツール施策を実施していても、その効果検証はほとんどなされていないのが現状です。だからこそ、現場で実際に認知症の方やご家族と向き合うPTが、使える情報を届ける意味があると考えています。

出典:国立長寿医療研究センター「認知症高齢者の見守りツールの効果検証とその活用に関する研究」(2020年度)

家族
家族

GPS端末ってどれを選べばいいんでしょう?種類が多すぎて、何を基準にしたらいいのかわかりません…

もくもく
もくもく

選ぶときに確認してほしいポイントが3つあります。この3つを押さえれば、まず失敗しません。

GPS選びで失敗しないための3つのポイント

①リアルタイム更新の速さ

GPS端末によって、位置情報の更新間隔は大きく異なります。数十秒で更新されるものから、数分おきのものまでさまざまです。

徘徊対策として使う場合、更新が遅いと「地図上の位置と実際の場所がずれている」という状況が起こります。探しに行ったのにもう移動していた、という事態は避けたいですよね。

更新間隔は1〜2分以内を目安に選ぶと安心です。

②バッテリーの持ち

どれだけ高性能なGPSでも、バッテリーが切れていては意味がありません

充電頻度が高い端末は、充電を忘れたときにそのまま使えない状態になるリスクがあります。介護をしながら毎日充電を管理するのは、思った以上に負担になります。

バッテリーが数日〜数週間持つモデルを選ぶと、充電の手間が減って管理しやすくなります。

③持たせやすさ

どれだけ優れたGPSでも、持ち歩いてもらえなければ意味がないのが現実です。

認知症の方は「GPS端末を持って出かける」という習慣をつけることが難しい場合があります。本人が意識しなくても自然に携帯できる工夫が必要です。

持たせ方については、後ほど詳しく解説します。

家族
家族

AirTagは持っているんですが、これじゃダメですか?Apple製品なら信頼できるかと思っていました

もくもく
もくもく

実は私もAirTagを使っています。でも徘徊対策には正直おすすめできません。理由をお話しします。

AirTagは徘徊対策に使えないのか

結論からお伝えすると、認知症の徘徊対策にAirTagはおすすめしません。

私自身、財布や鍵などの管理にAirTagをいくつか使っています。物の紛失防止という用途では便利だと感じています。

ただ、命が関わる場面での使用は別の話です。

AirTagの位置情報は、近くを通ったiPhoneの電波を利用して更新される仕組みです。そのため、人通りの少ない場所や時間帯では「最終更新が数時間前」という状態になることがあります。

探したいまさにその瞬間に位置情報が古い——これは徘徊対策として致命的な問題になります。実際に私も使っていて、すぐに知りたいときに更新されていないという場面を何度か経験しました。

AirTagは「なくした物を後から探す」ための道具です。「今この瞬間どこにいるかを知る」という徘徊対策の用途とは根本的に合っていません。

⚠️ AirTagを徘徊対策に使ってはいけない理由

AirTagは「なくした物を後から探す道具」です。近くのiPhoneがなければ位置が更新されないため、「今この瞬間どこにいるか」を知りたい徘徊対策には根本的に合っていません。SIM内蔵のGPS専用端末を選んでください。

訪問PTがおすすめするGPS:あんしんウォッチャーLE

あんしんウォッチャーLE GPS見守り端末の外観

料金・スペック

数あるGPS見守り端末の中で、私がおすすめするのがKDDI(au)が提供するあんしんウォッチャーLEです。訪問先のご家族から「何を選べばいいかわからない」と相談を受けるたびに調べてきた中で、月額費用・通信の安定性・操作のシンプルさのバランスが現時点でもっとも整っていると感じているモデルです。

項目内容
本体サイズ50×50×18.8mm
重さ53g
月額料金初月無料・2ヶ月目から539円
通信au 4G LTE+LPWA
防水IP55
測位GPS・GLONASS・Galileo・BeiDou+Wi-Fi補完

月額539円というのは、GPS見守り端末の中でもかなりリーズナブルな部類です。大手キャリアKDDIが提供しているため、通信の安定性や品質面でも安心感があります。

本体サイズは5cm角・53gとコンパクトで、カバンのポケットやズボンのポケットにも収まりやすいサイズ感です。

実際の使い方

スマホに「au HOME」アプリをインストールして端末を登録するだけで使い始められます。設定は3分程度で完了するため、機械が苦手な方でも安心です。

✅ アプリからできること(3つ)

  • 現在地の確認:地図上でリアルタイムの位置を確認できる
  • 行動履歴の確認:どこをどう移動したかの履歴が残る
  • バッテリー残量の確認:残量が少なくなると通知が届く

家族みんなでアプリを登録できるため、離れて暮らす兄弟や親戚とも見守りを分担できるのも大きなメリットです。センサーを使った見守り方法についてはこちらの記事もあわせてどうぞ。

家族
家族

GPS端末を渡しても、すぐ机の上に置きっぱなしで全然持っていってくれないんです…

もくもく
もくもく

それは一番多い相談です。持たせ方を変えるだけで解決できることがあります。本人が意識しなくても自然に携帯できる方法をお伝えします。

GPSを持たせるのが難しい方へ:靴型という選択肢

「GPSを持って行ってね」と声をかけても、覚えていられないのが認知症の方の現実です。理解してもらう・納得してもらうという方向で解決しようとすると、うまくいかないことがほとんどでした。

📝 訪問現場より

何度も徘徊してしまう方に、外出するときはスマホを持って行くようお願いしていました。しかし案の定、本人はそのことを覚えていられず、忘れて出かけてしまうことが続きました。

そこで「本人に覚えてもらう」のではなく「気づかれずに持ってもらう」方法に切り替えることにしました。毎回必ず持っていくカバンの中に、GPS端末をそっと忍ばせておくようにしたのです。

大切なのは、本人に理解や納得を求めることではありません。本人の負担にならない形で、自然に携帯してもらう工夫を考えることです。

靴型GPS うららかGPSウォークSの外観

カバンを持つ人・持たない人で持たせ方を変える

GPS端末を導入しても、持ち歩いてもらえなければ意味がありません。

私が担当していた方は、外出するときに必ずカバンを持っていく習慣があったため、カバンの中にGPS端末を入れておくことで自然に携帯してもらえました。

ただ、認知症の方の中にはカバンを持たずに外出してしまう方も少なくありません。そういった方には、カバン以外の方法を考える必要があります。

理学療法士として現場で感じるのは、「靴は必ず履く」という点です。外出するときに靴を履かない人はいません。だからこそ、靴の中にGPSを仕込むという方法は、持たせ方の工夫として非常に理にかなっていると思っています。

👨‍⚕️ もくもくポイント

靴は必ず履く。これが訪問現場で感じた、持たせ方の答えのひとつです。カバンを忘れても、靴を忘れて外出する人はいません。

うららかGPSウォークSとは

靴型GPSの選択肢として紹介したいのが、介護用シューズ「うららかGPSウォークS」です。

左足のかかと部分にGPS端末を収納できるスペースが設けられており、中敷きを引き上げて端末を入れるだけで使えます。見た目は普通の介護用シューズと変わらないため、本人が違和感なく履けるのが大きな特徴です。

項目内容
サイズ展開SS〜3L(21.5〜27.0cm)
重さ(片足)約250g(GPS含まず)
素材合成皮革
対応GPSトラッキモe など
留め具ファスナー式(着脱簡単)

靴型GPSを使う際の注意点

⚠️ 購入前に確認してほしいこと

うららかGPSウォークSはシューズのみの販売です。GPS端末(トラッキモeなど)は別途購入・通信契約が必要で、あんしんウォッチャーLEよりランニングコストは高めになります。「どうしても持ち歩いてもらえない」場合の選択肢として検討してください。

その方の生活習慣に合わせた持たせ方を考えることが、GPS見守りを長く続けるための一番のポイントです。

👨‍⚕️ もくもくポイント

GPS端末を選ぶより先に、その人がどんな外出の仕方をするかを観察してみてください。習慣に合わせた持たせ方が、長続きの秘訣です。

なお、認知症の方は「靴が履けなくなる」という別の困りごとも起こりやすくなります。これは足の問題ではなく、動作の手順を忘れてしまう「失行」が原因のことが多いです。認知症で靴が履けないのはなぜ?足ではなく「脳」に原因がありますで詳しく解説しています。

まとめ

認知症の徘徊は、いつ起こるかわかりません。そして行方不明になってからの時間が、命を左右することがあります。

GPS見守り端末は、認知症の方を「監視する道具」ではありません。家族が少しだけ自由になるための道具です。買い物に行けるようになった、夜安心して眠れるようになった——現場でそんな声を聞くたびに、早めに対策しておいてよかったと話してくれる家族が多いです。

📝 まとめ

  • ✅ 認知症の行方不明は1日約51人。3日で生存率が急激に低下する
  • ✅ GPSは「監視」ではなく、家族が少し自由になるためのツール
  • ✅ GPS選びは「SIM内蔵・更新速度・持たせやすさ」の3点で判断する
  • ✅ AirTagは徘徊対策に使えない。SIM内蔵の専用端末を選ぶこと
  • ✅ カバンを持たない人には靴型GPS(うららかGPSウォークS)という選択肢がある
  • ✅ 習慣に合わせた持たせ方が、GPS見守りを長続きさせる秘訣

端末を持ち歩く習慣がある方にはあんしんウォッチャーLE、どうしても持たせるのが難しい方には靴型GPS(うららかGPSウォークS)という選択肢があります。

なお、認知症と診断された後に家族がどう動けばよいか迷っている方は、こちらの記事も参考にしてください。→認知症と診断されたら家族はどうする?混乱したときに読む行動ガイド

まずは一歩、試してみてください。

【ご注意】本記事は、理学療法士の資格を持つ筆者が在宅訪問の経験をもとに作成した情報提供を目的としたものです。個人の状態や環境によって適切な対応は異なります。医療・介護に関する判断は、担当の医師・ケアマネジャー・専門職にご相談ください。

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