足のむくみで靴が入らない…むくんだ足を守る靴の選び方

足のむくみで靴が入らない…むくんだ足を守る靴の選び方 介護グッズ・食事

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📋 この記事でわかること

  • ✔ むくんだ足に「サンダル」「かかと踏み」「スリッパ」を続けるリスク
  • ✔ 靴を買う前に確認したい「受診が先」のサイン
  • ✔ むくむ足の靴選び 5つの基準(PT視点)
  • ✔ むくみの程度別に、どんな靴が現実的な選択肢になるか
もくもく

・理学療法士歴15年|訪問リハビリ12年|累計12,000件以上の訪問
・在宅生活の専門家:小さなお子さんから難病、高齢の方まで幅広くサポート
・現場目線の発信:現場で培った「長く・安全に自宅で過ごすための工夫」を公開中

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家族
家族

夕方になると母の足がパンパンで、靴が全然入らないんです。もうサンダルしかなくて……

もくもく
もくもく

そのサンダル、実はいちばん危ないかもしれません。足を守れていないんです。

家族
家族

え、じゃあどんな靴を選べばいいんでしょう?

「靴が入らない」は、訪問先でとてもよく聞く相談です。そして多くのご家庭が、行き着く先としてサンダルを選びます。ただ、12,000件以上の訪問で見てきた中では、そのサンダルが原因で足に傷ができてしまった方が少なくありません。この記事では、むくんだ足の靴をどう選ぶか、現場での判断基準をそのままお伝えします。

「入らないからサンダル」が、いちばん危ないことがあります

サンダルを履いたむくみのある高齢者の足元のイラスト

むくみで靴が入らなくなったとき、多くのご家庭が選ぶのがサンダルや、かかとを踏んだ状態の靴、そして室内ではスリッパです。足入れは確かに楽になります。でも、足を守る機能はほとんど失われています。

📝 訪問現場より

施設に入所されていた、下肢のむくみがかなり強い方でした。入る靴がなく、日中はずっとサンダルで過ごされていました。ところが車椅子を使う場面が多く、移乗のたびに足が車椅子の角に当たってしまう。むくんだ皮膚は薄く伸びきっていて、少しこすれただけでも傷になります。気づいたときには足に何か所も傷ができていて、施設の職員さんから「靴を買ったほうがいいでしょうか」と相談を受けました。

この方のその後は、記事の最後でお伝えします。

とくに気をつけたいのが、室内のスリッパです。外出が減った方ほど一日中スリッパで過ごしがちですが、むくんだ足は傷や長時間の圧迫に弱く、かかとのない履き物では足を守れません。室内でも、かかとのある適切なサイズの一足を用意しておくと安心です。

サンダルやスリッパ、かかと踏みで起きやすいのは、主に2つです。

ぶつけたときに足を守れない

むくんだ足の皮膚は張って薄くなっており、擦れや圧迫に弱い状態です。車椅子のフットレスト、ベッドの柵、家具の角。ふだんなら何ともない接触が、傷につながります。

歩くときに脱げる・引っかかる

サンダルやスリッパは足に固定されないため、すり足気味の高齢者では前に飛んでいったり、逆に足指で引っかけようとして踏ん張ってしまうことがあります。

大きすぎる靴も同じリスクがある

そしてもう一つ、サイズ選びによくある落とし穴があります。「入らないなら大きいサイズを」と考えたくなりますが、これも安全とは言えません。日本老年療法学会誌に掲載された研究では、転倒リスクの高い高齢者では、サイズの合わない靴を履いた条件で重心動揺が大きくなり、静的バランス能力への悪影響が示唆されたと報告されています。つまり「とりあえず大きめ」は、転倒リスクの高い方ほど避けたい選び方だということです。

出典:日本老年療法学会誌「靴のサイズ適合性が女性高齢者の静的バランス能力に及ぼす影響」(2025)

必要なのは「大きい靴」ではなく「むくんだ足の形に合う靴」です。

👨‍⚕️ もくもくポイント

むくんだ足に必要なのは「大きい靴」ではなく「形に合う靴」です。サイズを上げて解決しようとすると、かえって足の中で靴がズレて、転倒の引き金になります。


靴を探す前に確認したい「受診が先」のサイン

ここは順番を間違えないでほしいところです。靴を変えても、むくみそのものは治りません。むくみの背景に病気が隠れていることがあるからです。

📝 訪問現場より

訪問していた方で、あるとき急に足のむくみが強くなり、ご家族から「靴が入りにくくなった」と相談を受けました。ただ足を見ると、明らかに前回よりむくみの範囲が広い。体重を確認すると、短期間で増えていました。

私はその場で靴の話はいったんやめて、「まず主治医にすぐ相談してください」とお伝えしました。むくみは心臓や腎臓の状態を映していることがあり、こちらで判断していい症状ではありません。

急なむくみと体重増加が重なるのは、専門家の間でも重視されているサインです。日本循環器学会・日本心不全学会の合同ガイドラインでは、心不全のセルフケアとして毎日の体重測定が重要とされ、とくに短期間での体重増加は体液貯留の徴候として心不全の増悪を示唆する、と記載されています。

出典:急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)日本循環器学会/日本心不全学会

こんなときは靴より先に医療機関へ

⚠️ こんなサインは靴より受診を優先

  • 数日〜1週間で急にむくみが強くなった
  • 体重が短期間で増えている
  • 片足だけ、または左右差がはっきりしている
  • 息切れや動悸をともなう
  • 押した跡がいつまでも戻らない、皮膚が硬くなってきた

むくみの原因は心臓、腎臓、肝臓、リンパ、薬の影響など幅広く、原因によって対応がまったく変わります。ご家庭で見分けるのは現実的ではありません。まず医師に相談してください。むくみの原因や日常でできる対策については、高齢者の足のむくみは“座りっぱなし”が原因|マッサージより先に「動かす」対策で詳しくまとめています。

そのうえで、「原因は分かっている」「主治医にも診てもらっている」という段階になったら、次は靴の話です。

👨‍⚕️ もくもくポイント

むくみが強くなったとき、体重も一緒に確認してみてください。足を見るだけでは分からない変化が、体重には出ます。ご家庭でできる、いちばん簡単な観察方法です。


むくむ足の靴選び、5つの基準

むくんだ足に合う靴と合わない靴を比べるイラスト

ここからが本題です。商品名より先に、基準を持ってください。基準さえ分かれば、どのメーカーの靴でも判断できます。

✅ むくむ足の靴選び・5つの基準

  • ① 甲が伸びる・締め付けない素材か
  • ② 履き口が大きく開くか
  • ③ サイズは「むくみが強い時間帯」に合わせる
  • ④ 左右差・日ごとの差は「よくあること」
  • ⑤ 誰が履かせるかで、選ぶ靴は変わる

基準1:甲が伸びる・締め付けない素材か

むくみで最初にきつくなるのは、多くの場合つま先ではなく甲です。硬い革や伸びない素材だと、甲の一点だけが食い込んで痛みや傷の原因になります。ストレッチ素材やニット素材など、足の形に沿って伸びるものを選びます。

基準2:履き口が大きく開くか

面ファスナー(マジックテープ)で大きく開くタイプ、いわゆる前開きの靴は、足入れがまったく違います。靴ひもタイプは開く範囲が限られるため、むくんだ足では引っかかって入りません。

基準3:サイズは「むくみが強い時間帯」に合わせる

朝ちょうどよかった靴が、夕方には入らない。これは珍しいことではありません。下肢の浮腫は日内変動し、時間の経過とともに増大することが知られています。

出典:日本フットケア学会雑誌「下肢の浮腫を視る─看護の立場から─」(2017)

高齢者を対象とした報告では、朝から夕方までに足背が約4%、足関節が約2〜3%大きくなっていたとされます。

出典:日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌 20巻3号(2016)

数%と聞くと小さく感じますが、靴のきつさとしてははっきり体感できる差です。試し履きは夕方に。これが鉄則です。

👨‍⚕️ もくもくポイント

靴の試し履きは、必ず夕方に。午前中に買った靴が夕方入らなくなるのは、よくある失敗です。ご本人を連れて行けない場合は、夕方に足の実寸を測っておくだけでも違います。

基準4:左右差・日ごとの差は「よくあること」

左右でサイズが違う、日によって入り具合が変わる。これはむくみのある足では普通に起こります。「昨日は入ったのに」と焦らず、幅に余裕のある側に合わせるのが実用的です。

基準5:誰が履かせるかで、選ぶ靴は変わる

ここを見落としているご家庭が多いです。ご本人が自分で履くのか、家族や職員が履かせるのか。介助して履かせるなら、大きく開いてかかとがつぶれない構造が必須になります。


着圧ソックスと靴、どう使い分ける?

むくみ対策というと着圧ソックスを思い浮かべる方が多いのですが、着圧ソックスと靴は役割がまったく違います。着圧ソックスは、日中に下肢へたまる水分を押し戻し、むくみ「そのもの」を軽くするための道具です。一方で靴は、すでにむくんだ足を傷や圧迫から守り、安全に歩くための道具。どちらか一方ではなく、併用するのが基本です。

ただし、着圧ソックスは誰にでも安全なわけではありません。圧の強さが合っていなかったり、糖尿病や末梢動脈疾患など血流に問題がある方が使うと、かえって害になることがあります。強い圧のものを自己判断で選ばず、必ず主治医に相談してから使ってください。


むくみの程度別・現実的な靴の選択肢

むくみの程度別に靴を選び分けるイラスト

正直に書きます。むくみの程度によって、おすすめできる靴は変わります。

軽度〜中等度:夕方にきつくなる、見た目も気にしたい方

日中は普通に靴が履けて、夕方だけきつい。あるいは外出もするので介護靴に見えるのは避けたい。この段階なら、幅にゆとりがあってデザイン性のある靴が選択肢になります。

具体的には、甲がストレッチ素材で伸びるもの、面ファスナーで甲まわりを微調整できるものだと、その日のむくみ具合に合わせやすくなります。見た目は普通のスニーカーやおしゃれな靴に近くても、こうした機能を備えたものがあります。

📝 訪問現場より

訪問していた方で、むくみは軽〜中等度。外出はまだご自分でされる方でした。ただ、いかにも介護シューズというデザインの靴は気が進まない様子で、なかなか新しい靴に踏み切れずにいました。

そこで、介護靴に見えないおしゃれなタイプのカタログをお見せしたところ、「ちょっと見せて」とご自分から手に取り、気に入った一足を選ばれました。機能は同じでも、「これなら履きたい」と思える靴かどうかで、外に出ようという気持ちはずいぶん変わります。

重度:毎日ひどくむくむ、足入れが最優先の方

6E・7E以上の幅が必要、履き口が最大限開かないと入らない。ここまでくると、機能で選ぶべきです。介護靴の専門メーカーが出している、幅の展開が広く大きく開くタイプのほうが確実です。冒頭のエピソードの方も、最終的にこのタイプの前開き・幅広を選びました。

具体的には、徳武産業の「あゆみ ダブルマジックIII」のような介護靴専門メーカーの幅広タイプが候補になります。6E・7Eといった幅の展開があり、面ファスナーで履き口が大きく開くので、むくんで入りにくい足でも足を入れやすくつくられています。ここでは収益になる靴を優先しているわけではありません。機能だけを見れば、この段階では専門メーカーの幅広靴がいちばん確実だからです。

デザイン性のある靴を無理に薦めるつもりはありません。入らない靴を買っても、履かないだけです。

屈むのがつらくて履けない場合

むくみよりも「前かがみになれない」ことが問題なら、選ぶ靴は変わります。腰や膝を曲げずに履ける靴を優先しましょう。


靴を買う前に、家族ができる3つのこと

夕方に高齢の親の足を家族が確認するイラスト

1. 夕方に足を測る

朝の足だけ見て判断しないでください。いちばんむくんでいる時間帯の足が、選ぶべき基準です。

サイズは足長の数字だけで決めず、足囲(甲まわり)で合わせるのがコツです。試し履きでは甲を指で軽く押して、食い込みや強い圧迫感がないかを確認します。むくんだ足は、つま先よりも甲がいちばん先にきつくなるからです。

足囲(そくい)は、足の親指の付け根と小指の付け根の、いちばん出っ張った部分をぐるりと一周させた長さのことです。測るときは夕方に、床に立った状態で。メジャーを足の甲のいちばん太いところに軽く沿わせ、締めつけずに一周させます。左右で差が出やすいので、両足を測って大きいほうの足に合わせるのが安全です。この足囲が、靴のワイズ(3E・4Eといった幅表記)の目安になります。数値まで分からなくても、今履いている靴で甲が赤くなる・食い込むなら、幅が足りていないサインです。

2. 今履いている靴の「当たり跡」を確認する

脱いだ直後の足に、赤い跡や凹みが残っていないか。どこが当たっているかが分かれば、次に必要な靴の条件が見えます。

👨‍⚕️ もくもくポイント

靴を脱いだ直後の足を、10秒だけ見てください。赤くなっている場所が、今の靴で足りていない部分です。次に選ぶ靴の条件は、そこに書いてあります。

3. 本人に選ばせる

家族が良かれと思って買った靴が、履かれないまま玄関に置かれている。訪問先でよく見る光景です。色やデザインを本人が選べると、履く率は明らかに上がります。


まとめ

✅ ポイントおさらい

  • ✅ むくみで靴が入らないとき、サンダル・スリッパ・かかと踏みは足を守れず、傷や転倒のリスクになる
  • ✅ 急なむくみ・体重増加・左右差があるときは、靴より先に受診を
  • ✅ 選ぶ基準は「甲が伸びる」「大きく開く」「夕方サイズ」「左右差は当たり前」「誰が履かせるか」
  • ✅ むくみの程度が強ければ、デザインより機能を優先していい

靴は、むくみを治す道具ではありません。でも、むくんだ足を守り、動ける範囲を保つための道具にはなります。冒頭のエピソードの方は、前開きの幅広靴に変えてから足の傷ができなくなり、職員さんの介助もぐっと楽になりました。調子のいい日には、少し歩けるようにもなったそうです。

まず夕方の足を見るところから始めてみてください。

【ご注意】本記事は、理学療法士の資格を持つ筆者が在宅訪問の経験をもとに作成した情報提供を目的としたものです。個人の状態や環境によって適切な対応は異なります。医療・介護に関する判断は、担当の医師・ケアマネジャー・専門職にご相談ください。

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