在宅介護のリフォームどこから始める?介護保険で使える住宅改修を訪問12年のPTが解説

高齢者が自宅の玄関で手すりを握りながら段差を降りているイラスト|在宅生活サポートラボ 介護サービス・制度

最新記事をLINEでお届け

新しい記事の公開をLINEで通知します

友だち追加

※本記事にはアフィリエイト広告が含まれています。

📋 この記事でわかること

  • ✔ 介護リフォームが必要になるタイミングの見極め方
  • ✔ 介護保険の住宅改修で使える工事の種類と費用のしくみ
  • ✔ PTが教えるリフォームすべき場所の優先順位
  • ✔ 手すりの正しい位置と失敗しないコツ
もくもく

・理学療法士歴15年|訪問リハビリ12年|累計12,000件以上の訪問
・在宅生活の専門家:小さなお子さんから難病、高齢の方まで幅広くサポート
・現場目線の発信:現場で培った「長く・安全に自宅で過ごすための工夫」を公開中

もくもくをフォローする

家族
家族

親が最近つまずくことが増えてきて…リフォームって何から始めればいいの?

もくもく
もくもく

介護保険を使えば費用を抑えてリフォームできますよ。まずどこを直すべきか一緒に考えましょう!

「親が転びそうで心配」「お風呂の出入りが大変そう」そんな不安を感じたとき、介護リフォームは大きな助けになります。でも何から手をつければいいか迷う方がほとんど。この記事では、訪問リハビリ12年・1万件超の経験をもとに、介護リフォームの始め方から介護保険の使い方、優先すべき場所まで順番に解説します。


介護リフォームが必要になるのはどんなとき?

高齢女性が自宅廊下の敷居につまずきかけているイラスト|在宅生活サポートラボ

📝 訪問現場より

住宅改修の工事が無事に終わり、「これで安心して生活できる」と喜んでいた矢先に、ご本人が亡くなってしまったケースを何度か経験しています。そのたびに思うのは、「もっと早く動いていれば、もう少し長く使えたのに」ということです。介護リフォームは「まだ大丈夫」と思っているうちに動くことが、結果的に一番本人のためになります。

介護リフォームが必要になるタイミングは、大きく2つあります。ひとつは日常生活の中で「なんとなく不便」が積み重なってきたとき。もうひとつは、病気や骨折をきっかけに体の状態が一気に変わったときです。それぞれ詳しく見ていきましょう。

「今の家が合わなくなった」と感じたときがサイン

介護リフォームが必要になる一番のサインは、「今の住環境がその人の体に合わなくなってきた」と感じたときです。

訪問リハビリの現場では、こんな場面をよく目にします。

  • 廊下や部屋の境目でつまずくことが増えた
  • 浴室や湯船の出入りに時間がかかるようになった
  • トイレの立ち上がりが一人では不安になってきた

こうした変化は「年のせい」と見過ごされがちです。しかし住まいの環境を整えることで、転倒を予防できることが研究でも示されています。(Clemson L, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2023)

出典:Clemson L, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2023

病気や骨折で体の状態が急に変わったとき

もうひとつのタイミングが、骨折や脳卒中などで体の状態が一気に変わったケースです。昨日まで普通に歩けていた方が、退院後は歩行器や車椅子が必要になることは珍しくありません。

こうした場合は、退院前から住環境の整備を始めておくことが理想です。退院してから「玄関が通れない」「トイレに間に合わない」と気づいても、工事には時間がかかります。入院中にケアマネジャーや担当PTに相談しておくと、スムーズに準備を進められます。

👨‍⚕️ もくもくポイント

退院後に「玄関が通れない」「トイレに間に合わない」と気づいても、工事にはすぐに動けません。入院中から動いておくことが、在宅復帰をスムーズにする一番の近道です。

✅ 退院前訪問指導を活用しよう

  • 病院によっては退院前に療法士・相談員が自宅を訪問してくれる 「退院前訪問指導」という制度で、実際の住環境を見ながら改修や手すりの位置を相談できます。
  • 本人も一時帰宅できると理想的 外出という形で自宅に戻ってもらい、実際の動作を確認しながら相談するとより実用的です。
  • 退院が近づいたら担当スタッフに一声を 「退院前訪問指導をお願いできますか」と伝えるだけで手配してもらえます。

介護保険で使える「住宅改修」とは

介護リフォームを検討するとき、まず知っておきたいのが介護保険の「住宅改修」制度です。条件を満たせば、改修費用の一部を介護保険でまかなうことができます。

対象となる6つの工事

介護保険で対象となる住宅改修の種類は、厚生労働省の告示によって以下の6つに定められています。(厚生省告示第95号)

出典:厚生労働大臣が定める居宅介護住宅改修費等の支給に係る住宅改修の種類(厚生省告示第95号)

  1. 手すりの取り付け
  2. 段差の解消
  3. 滑りの防止・移動の円滑化のための床材変更
  4. 引き戸等への扉の取り替え
  5. 洋式便器等への便器の取り替え
  6. その他上記に付帯して必要な住宅改修

「古くなったから新しくしたい」といった老朽化対応は対象外です。あくまで介護・自立支援を目的とした改修に限られます。

20万円の支給限度額と自己負担

住宅改修の支給限度額は20万円です。所得に応じて1〜3割の自己負担となるため、1割負担の方であれば最大18万円が支給されます。

申請が通らないケースもある

住宅改修は必ず申請が通るわけではありません。収入によって自己負担割合が変わるほか、対象外の工事として判断されるケースもあります。事前にケアマネジャーに相談し、「住宅改修が必要な理由書」を準備したうえで申請を進めましょう。

自治体独自の補助金も確認を

介護保険の住宅改修とは別に、市区町村が独自の補助金制度を設けている場合があります。内容は自治体によって大きく異なるため、お住まいの市区町村の窓口やケアマネジャーに確認してみてください。なお、介護保険や補助金の対象外となる工事を自費で行う場合は、複数の業者に見積もりを取って比較することが重要です。リショップナビのような一括見積もりサービスを使うと、手間なく比較できます。

リフォームすべき場所の優先順位

介護リフォーム後の浴室で高齢女性が手すりを握りながら入浴するイラスト|在宅生活サポートラボ

「どこから手をつければいいかわからない」という声はよく聞きます。訪問リハビリの現場での経験をもとに、優先度の高い場所を順番に解説します。

まず解消したい段差(廊下・寝室・リビング)

最初に手をつけたいのが、生活動線上の段差です。廊下・寝室・リビングなど、一日に何度も通る場所の段差は転倒リスクに直結します。

特に気をつけたいのが敷居です。健康なときは何も感じない数センチの段差でも、足が上がりにくくなった高齢者にとってはつまずきの原因になります。スロープや床のかさ上げで段差を解消するだけで、転倒リスクを大きく下げることができます。住宅内の段差解消を含む環境改修が転倒リスクを有意に下げることは、系統的レビューでも示されています。(Home hazard modification programs for reducing falls in older adults. PeerJ. 2023)自宅での転倒予防の取り組みについては別記事でも詳しく解説しています。

出典:Home hazard modification programs for reducing falls in older adults. PeerJ. 2023

水回りのスペース確保(浴室・脱衣場・トイレ)

次に優先したいのが水回りです。浴室・脱衣場・トイレは、転倒事故が最も多い場所のひとつ。さらに車椅子や歩行器を使うようになると、スペースが足りず介助自体が困難になるケースも少なくありません。

浴室では湯船の出入り補助、脱衣場では着替え時の立ち座り、トイレでは便座の高さと手すりの位置が重要なポイントです。なかでも浴室は、リフォームしてから一番驚かれる場所です。古い浴室は湯船が深く狭いつくりが多く、出入りに大きな負担がかかります。最近の浴室は浅くて広いものが増えている印象ですが、築年数が古い家では特に注意が必要です。訪問の現場でも「もっと早くやればよかった」という声を一番よく聞くのが浴室です。浴室での安全対策についてはシャワーチェアと浴室の安全対策の記事もあわせてご覧ください。

玄関・玄関外は特に重要

玄関と玄関外の段差も見落とせません。外出・帰宅のたびに使う場所であり、段差解消スロープや手すりの設置が有効です。

ただし玄関は個人差が大きく、一概に「この位置に手すり」とは言えません。訪問リハビリの現場では、まず置き型手すりや福祉用具のレンタルで試してから工事を検討することをすすめています。詳しくは次の章で解説します。

手すりの位置はPTに相談すべき理由

理学療法士が高齢女性と自宅の手すりの位置を確認しているイラスト|在宅生活サポートラボ

📝 訪問現場より

手すりの位置を決めるとき、私はよく「杖を手すり代わりにして、実際に立ち座りをやってみてください」とお願いします。その動作を見ながら「もう少し高いほうがいい」「角度をこうしたほうが使いやすい」と微調整していく。図面の上だけで決めた手すりより、体の動きに合わせて決めた手すりのほうが、圧倒的に使い勝手がいいんです。

手すりの設置は介護リフォームの中でも最もよく行われる工事です。しかし「どこにでも手すりをつければ安心」というわけではありません。位置を間違えると、むしろ使いにくくなることもあります。

正しい位置は立って手を下ろしたときの手首の高さが基本

手すりの高さの基本は、立った状態で手を自然に下ろしたときの手首(手関節)の位置です。この高さが、握ったときに最も力が入りやすく、立ち座りや移動の補助として機能しやすい高さになります。

訪問リハビリの現場では、実際にその位置で手すりを握ってもらい、立ち座りや移動の動作を確認しながら最適な高さと角度を決めていきます。図面だけで決めるのではなく、実際の動作を見ながら調整することが大切です。

👨‍⚕️ もくもくポイント

手すりの高さは、図面や感覚で決めるのではなく、実際に動作を確認しながら決めることが大切です。担当のPTに一度見てもらうだけで、使い勝手は大きく変わります。

「どこでも手すり」は逆効果になることも

家族が「どこでも手すりがあれば安心」と考え、壁全面に手すりをつけてしまうケースがあります。しかし手すりが多すぎると、本当に必要な場所が埋もれてしまったり、かえって動線の邪魔になることがあります。

手すりは「どこに」「どの向きで」つけるかが重要です。縦向き・横向き・L字型など、使う動作によって形状も変わります。設置前に担当のPTやケアマネジャーに相談することを強くおすすめします。訪問リハビリの内容や申請方法については別記事で解説しています。

リフォーム前にレンタルで試す方法

高齢男性が娘と一緒に玄関の置き型手すりを試しているイラスト|在宅生活サポートラボ

介護リフォームで後悔しないためにできることがあります。それが「まずレンタルで試す」という方法です。

置き型手すりで位置を確認してから工事へ

介護保険の福祉用具貸与を使えば、置き型手すりを月々わずかな自己負担でレンタルできます。工事の前に実際の生活の中で使ってみることで、「この位置だと使いやすい」「やっぱり角度が違う」といった細かい調整が可能です。

特に玄関や玄関外の段差まわりは、個人差が大きい場所です。訪問リハビリの現場でも、数ヶ月レンタルで試してから住宅改修で固定するという流れをよくすすめています。

一度壁に固定してしまうと、位置の変更には再度費用がかかります。「迷ったらまずレンタル」を合言葉に、焦らず最適な位置を見極めてから工事に進みましょう。

👨‍⚕️ もくもくポイント

一度壁に固定した手すりの位置を変えるには、また費用がかかります。迷ったらまずレンタルで試す。これが現場で学んだ、後悔しないリフォームの進め方です。

まとめ

この記事では、介護リフォームの始め方から介護保険の使い方、優先すべき場所まで解説しました。最後に要点を整理します。

📝 まとめ

  • ✅ 介護リフォームのサインは「今の家が体に合わなくなってきた」と感じたとき
  • ✅ 介護保険の住宅改修は20万円を上限に1〜3割の自己負担で利用できる
  • ✅ リフォームの優先順位は段差解消→水回り→玄関まわりの順
  • ✅ 手すりの高さは立って手を下ろしたときの手首の高さが基本
  • ✅ 迷ったらまずレンタルで試してから工事へ

訪問リハビリの現場で何度も見てきたのは、「もっと早く相談すればよかった」という声です。改修してすぐに状態が変わってしまうこともある。だからこそ、気になったときが動くタイミングです。

まずはケアマネジャーか担当のPTに相談することから始めてみてください。

【ご注意】本記事は、理学療法士の資格を持つ筆者が在宅訪問の経験をもとに作成した情報提供を目的としたものです。個人の状態や環境によって適切な対応は異なります。医療・介護に関する判断は、担当の医師・ケアマネジャー・専門職にご相談ください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました